七面鳥飼育者のウエストナイルウイルス感染、2002年−米国


(Vol.24 p 330-330)

2002年11月、ウィスコンシン州のA七面鳥飼養場の従業員2例のウエストナイルウイルス(WNV)感染が確認された。A郡ではそれ以前に、ヒトのWNV感染症例は1例のみの報告であった。この農場では9月に鶏痘の流行が起こっていた。

2003年2月にA農場と、同じ企業が経営する5つの農場、七面鳥以外の飼養場、肉加工工場などの従業員93名に対して、血清検査とアンケート調査を行った。また、A農場から 1/4マイル以内に居住している住民14名からも血清が集められた。

合計107検体中、10検体(9%)がWNV特異IgM抗体陽性であった。6農場の従業員90名のうち57名(63%)が検査を受け、うち10名(18%)が抗体陽性であった。加工工場の従業員、周辺住民に抗体陽性者はいなかった。A農場の専従者は11名であったが、そのうち6名(55%)が抗体陽性であった。一方、A農場と他の農場を兼務している8名からは2名(25%)、他の農場のみで従業している38名からは2名(5%)のみの抗体陽性が確認された。抗体陽性であった10名のうち6名(60%)が8〜10月(全員9月最終週)に頭痛、発熱を呈していたのに対し、抗体陰性であった97名のうち同様の症状のあった者は7名(7%)のみであった。症状のあった抗体陽性者6名はすべてA農場で働いていた。1名は髄膜脳炎となり入院していたが、死亡例はない。蚊への曝露と、刺されたという報告は抗体陽性者と抗体陰性者で差がなかった。57名の農場従業員のうち1名のみが蚊に対する忌避剤を使用していた。

A農場では2つの飼育場と、幼鳥の小屋が一つあり、飼育場ではオスは丈夫なベニヤの壁でメスから仕切られている。2003年1月には、A農場と隣の農場の七面鳥が検査された。ともに2002年6〜12月まで幼鳥の小屋にいた七面鳥で、どちらの小屋でも9月に鶏痘が流行していた。A農場のメス135羽のうち130羽(96%)がWNV中和抗体陽性であった。一方、A農場のオス30羽、他の農場のメス135羽、オス30羽はすべて陰性であった。

今回の事例における感染源・感染経路はまだ不明であるが、疫学的証拠からはなんらかの職業上の感染であったことが示唆され、さらなる調査が進行中である。

(CDC, MMWR, 52, No.40, 1017-1019, 2003)

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