2003年3月、バージニア州北部に住む生来健康な25歳の青年が原因不明の急性髄膜炎・脳炎で、発症から3週間後に死亡した。CDCによる病理解剖の結果、中枢神経系からアライグマ関連狂犬病ウイルスが遺伝子学的に証明された。このことは、狂犬病に関する予防や診断の教育が重要であることを示唆している。
患者は、2003年2月に感冒症状より始まる急性髄膜炎・脳炎を発症し、州内の医療機関に入院したものの改善することなく、入院より14日目に死亡した。この患者はその前の6年間、アライグマの狂犬病が流行している地域に住み、そこで働き、レクリエーションを行なっていたが、患者家族や友人、会社の同僚に聞いても、特にアライグマ関連狂犬病ウイルスに感染した可能性のある陸生動物との接触は明らかでなく、それほど屋外で過ごすこともなかった。しかし、キャンプの時や、ゴミ入れあるいは材木の山、他の屋外環境の中で狂犬病の哺乳類と接触した可能性はあった。
疫学的な調査の結果、家族および友人約125人と医療スタッフ約173人が、患者の分泌物や組織に対する直接的な接触についてさらなる調査を受けた。その結果、家族のうち5人と医療スタッフ3人に曝露後ワクチン接種を行った。
(CDC, MMWR, 52, No.45,1102-1103, 2003)