平成15年11月5日健感発第1105006号「感染症法に基づく医師から都道府県知事等への届出のための基準について」の「(10)高病原性鳥インフルエンザ」の届出基準

(Vol.25 p 38-39)

定 義:高病原性鳥インフルエンザウイルスによるヒトの感染症をいう。

鳥インフルエンザウイルスのうち、特にH5及び(又は)H7亜型のヘマグルチニンを持つものはニワトリに対する病原性が強い。ヒトに対しても強い病原性を獲得する可能性が高い。H5N1ウイルスの感染により、1997年に香港で6名が死亡し、さらに2003年に2名が死亡した。2003年にオランダでニワトリにH7N7ウイルスの感染症が発生、流行した際に、獣医師が1名死亡した。現在のところ、我が国では家禽類からは、H5及びH7ウイルスは検出されていない。

臨床的特徴:感染した家禽あるいは野生鳥などからヒトにH5またはH7ウイルスが感染することがごく稀にある。オランダでのA/H7N7による事例では、ヒトからヒトへの感染も起こったと報告されている。潜伏期間は通常のインフルエンザと変わりなく、1〜3日と考えられており、症状は突然の高熱、咳などの呼吸器症状の他、重篤な肺炎、全身症状を引き起こす。A/H7N7ウイルスの感染では結膜炎を起こした。過去の香港でのA/H5N1ウイルスによる事例では、感染拡大防止のために大規模な家禽の屠殺処分が行われた。

上述の症状のごとくインフルエンザを疑わせる症状があり、A型インフルエンザウイルスが分離同定されるものの、A/H1N1あるいはA/H3N2に対する抗血清と反応せず、亜型判別不能の場合には本疾患を疑う。

届出基準:診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、ウイルス分離において、A型インフルエンザウイルスが同定されるものの、A/H1N1、A/H3N2の抗血清に反応せず、亜型判定不能であり、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断がなされたもの。

・病原体の検出
例、咽頭拭い液、肺胞洗浄液、剖検材料など上下気道からの検体から、A/H1N1、A/H3N2以外のA型インフルエンザウイルスの分離同定 など

・病原体の遺伝子の検出
例、咽頭拭い液、肺胞洗浄液、剖検材料など上下気道からの検体から、A/H1N1、A/H3N2以外のA型インフルエンザウイルスの遺伝子の検出 など

・血清抗体の検出
例、A/H1N1、A/H3N2以外のA型インフルエンザウイルスに対する抗体の上昇を確認

備 考:まん延防止には、インフルエンザ予防接種歴、渡航歴、症状詳細、職業、野生鳥や鶏との接触歴などの情報を把握することが有用である。

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