2003年7月中旬、千葉県内B中学校より、他県にキャンプ旅行した2年生多数が食中毒症状を呈している旨の届け出があった。調査段階で、B中学校と相前後して同じキャンプ場を利用したAおよびC中学校の生徒にも発症者がいることが分かった。3中学校は夏休み中の林間学校として7月6日〜12日に、学校ごとに2泊3日のキャンプを行った。学校によってキャンプ中あるいはキャンプ終了直後から食中毒症状を呈する者が出始め、数日間にわたって発症者が続いた(図1)。発症率は学校によって約13〜26%と差があったが(表1)、症状は3校に共通で下痢、腹痛および発熱(平均39℃台)を主訴とし、一部に頭痛もあった。
発症者110人のうち61人の検便の結果、32人からCampylobacter jejuni が分離された。検査時に有症者の割合が多かったC校の検出率は64%で、他の2校より高かった(表1)。分離菌のパルスフィールド・ゲル電気泳動を実施したところ、Kpn I切断パターン(図2)およびSma I切断パターン(図3)がそれぞれ一致したことから、3校の食中毒感染源はC. jejuni の同一株であると考えられた。
3校の行動・喫食調査からキャンプ旅行の行程はほぼ同様であるが、食事は持参した弁当やキャンプ中の自炊であり、各学校ごとに、また生徒のグループごとに異なることが分かった。喫食に関して3校の唯一の共通点は同じキャンプ場を利用したことであった。さらに、生徒の一人がキャンプ場の水を持ち帰り、それを飲んだ家族が下痢を呈したことから、水が原因の可能性が高かったが、家族便の提供は得られず検査することはできなかった。また、同時期、他に2グループが同キャンプ場を利用しているが、有症苦情等はなかった。
千葉県衛生研究所 依田清江 内村眞佐子