米軍関係者におけるリーシュマニア症の発生、2002〜2004−南西/中央アジア、アフガニスタン


(Vol.25 p 125-125)

皮膚リーシュマニア症はサシチョウバエが媒介する寄生虫症である。2002年8月〜2004年2月までに、米軍関係者において522例の確定例が報告された。そのうち361例(69%)から情報が得られたので、その内容を報告する。361例中、352例(98%)が男性、274例(76%)がノンヒスパニックの白色人種、54例(15%)がノンヒスパニックの黒色人種、25例(7%)がヒスパニックであった。年齢の中央値は25歳(18〜57歳)で、4例を除いて全例がイラクでの感染であった。自己申告による発症日は2002年5月〜2004年1月に分布し、78%が2003年8月〜11月の発症であった()。

内臓リーシュマニア症もサシチョウバエが媒介する疾患で、カラ・アザールとも呼ばれ、WHOの推定では年間50万例の新規患者の発生があり、熱帯、亜熱帯、南ヨーロッパなどで現在も地域的な流行をみせている。2001年以降にアフガニスタンで従軍していた米軍関係者から、2例の症例が報告された。31歳と39歳の男性であるが、いずれも初期症状は発熱や筋肉痛など、非特異的な症状であった。特異的な症状がないこと、潜伏期間が非常に長いこと、さらに発症早期での検査で確定診断を付けにくいことなどから、診療は困難を極めた。

現在米国防総省が、軍関係者におけるリーシュマニア症の発症に関する危険因子を調査中である。リーシュマニア症が地域的に流行している所に滞在した者は、リーシュマニア症に罹患する可能性がある。医療関係者は、そのような居住歴や渡航歴がある者に関しては、リーシュマニア症を鑑別診断のひとつに入れる必要がある。

(CDC, MMWR, 53, No.12, 264-265, 265-268, 2004)

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