2003/04シーズンのB型インフルエンザウイルス分離状況−札幌市
(Vol.25 p 123-123)

札幌市における2003/04シーズンのインフルエンザの流行は、2月中旬をピークとして4月上旬にはほぼ終息しつつある。感染症発生動向調査定点医療機関からの咽頭ぬぐい液等からは、主にAH3型ウイルスが分離されており、B型ウイルスの分離数は少なかったが、3月上旬以降はB型ウイルスが継続的に分離され、4月中旬には分離数が増加したので、その概要について報告する。

患者報告数:2003年第47週(11月中旬〜下旬)に初めて患者の報告があり、第51週には流行開始の指標とされる定点あたりの患者数が1を超え、2004年第7週(2月中旬)がピークとなり、その後は減少して第14週(4月上旬)からは1以下となった(図1)。

ウイルス分離状況:市内医療機関(小児科10定点、内科4定点)を受診した患者から採取された咽頭ぬぐい液等を検査材料としてウイルス分離を行った。検査材料をMDCK細胞に接種してCPEが確認された培養液について、0.75%モルモット赤血球を用いてHA試験を行い、国立感染症研究所より分与された2003/04シーズン用インフルエンザウイルス同定キットを用いてHI試験を行った。

今シーズンは11月20日(第47週)に採取された咽頭ぬぐい液からAH3型が初めて分離された後、AH3型の分離数が増加して2004年第6週がピークとなった(図2)。一方、B型ウイルスは12月19日(第51週)に採取された咽頭ぬぐい液から初めて分離され、その後大幅な増加はなかったが、第16週には11株分離され、4月末までに合計39株分離されている(図2)。

これらのB型分離株は、抗A/Moscow/13/98(H1N1) (ホモ価 1,280)、抗A/New Caledonia/20/99(H1N1) (ホモ価 320)、抗A/Panama/2007/99(H3N2) (ホモ価 1,280)、抗A/Kumamoto(熊本)/102/2002(H3N2) (ホモ価 1,280)および抗B/Shandong(山東)/7/97 (ホモ価80)各フェレット感染血清にはいずれもHI価<10を示したが、1株を除き抗B/Johannesburg/5/99羊高度免疫血清(ホモ価 1,280)に対してHI価 640〜 2,560を示した。2月21日に採取された鼻汁から分離された1株についてはHI価は20であった。

札幌市における2000/01シーズン以降のインフルエンザ流行状況は、AH3型とB型の、あるいはさらにAH1型を加えた混合流行であり、シーズン前半はA型が、後半はB型が主流となっており、6月までB型が分離されることがあった。現在までのところ、2003/04シーズンも同様に、後半にB型が流行する傾向がみられる。また、市内医療機関からは第16週にインフルエンザ様疾患の患者が若干増えたとの情報があり、今後の動向に注意が必要である。

札幌市衛生研究所
菊地正幸 宮北佳恵 吉田靖宏 土屋英保 大川一美 藤田晃三

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