小学校におけるノロウイルスの集団発生事例−島根県
(Vol.25 p 179-180)

県西部のA小学校で5月下旬にノロウイルスを原因とする集団胃腸炎が発生したの でその概要を報告する。

2004年5月22日、保健所管内の複数の医療機関からA小学校(児童数103名)の児童約15名が嘔吐・下痢の症状で受診しているとの連絡があった。保健所が調査した結果、21、22日に2年生を中心に教職員を含む24名が同様の症状を呈していた()。A小学校の給食は共同調理方式でA小学校のほか3つの小学校と1中学校に配送しているが、他校では胃腸炎症状を呈しているものは通常値(発症率0〜2.8%)であった。水道水は町の簡易水道を直結(受水槽なし)で使用している。

21、22日の発症者13名の糞便の細菌検査はすべて陰性であった。一方、13名中7名についてRT-PCR法によるノロウイルスの検出をおこなったところ、7名全員がプライマーG2SKF/Rおよび36/35'陽性となった(genogroup II)。さらに増幅産物のダイレクトシークエンシングをおこなった結果、検出されたウイルスはMelksham類似株であった。原因物質が特定されたことを受けて、保健所は近隣の小中学校を含めて感染予防についての連絡会を開催し、手洗いの徹底、校内のトイレの消毒等を指導するとともに、保護者にノロウイルスの情報提供と予防方法を周知した。

本事例は発症者の状況から5月19〜20日に校内でウイルスに曝露されたものと推察されたが、感染経路は特定できなかった。そして、事件発生前の18日と20日に胃腸炎症状を呈した者が認められたが、微生物学的検査が実施されておらず、因果関係は不明である。なお、同時期に県西部で発生した他事例からも、本事例とほぼ同じ塩基配列のMelksham類似株が検出されており、当時の地域流行株であったものと推察される。

島根県保健環境科学研究所 飯塚節子 田原研司

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