過去5年間の性器クラミジア感染症の発生状況および過去2年間の同感染症の保健所依頼検査数ならびに陽性数の推移−秋田県

(Vol.25 p 202-202)

過去5年間のSTD定点あたりの性器クラミジア感染症届出人数をみると(図1図2)、全国では男女ともに緩やかに上昇傾向を示している。秋田県においては、2002(平成14)年4月以前は少数で推移していたが、定点病院変更後の同年4月以降は男女とも全国と類似した数で推移し、特に男子で高い上昇傾向が月によっては認められた。このことは、患者数の増加も否定できないが、定点病院数、病院の一部変更等が反映されたものと推察された。

過去5年間の年齢群別性器クラミジア感染症の推移をみると(図3図4)、15〜19歳群以下が占める割合は男で10%〜31%(平均19%)、女で17%〜25%(平均21%)であった。全国平均(男9.1%、女19%)と比較しても同年齢群は男女ともに高い傾向がみられた。

図には示さなかったが、当所では、保健所におけるエイズ相談およびHIV抗体検査にともなう性器クラミジア等の検査を実施している。秋田市を除く秋田県では、2002(平成14)年7月〜2004(平成16)年3月までに依頼された同検査数は157検体、その中で性器クラミジア等を含めた性感染症検査依頼は137検体で、全体の87%を占めた。中核市の秋田市では218件の性器クラミジア検査を実施した。依頼件数、陽性件数をみると、年次、季節間に相違は認められなかったが、エイズキャンペーンやマスコミ等の影響により依頼数が一時的に増える傾向がみられた。性器クラミジアはIgA 抗体・IgG 抗体を測定した(秋田県は日立化成ヒタザイムクラミジア、秋田市は明治ペプタイドクラミジアを使用)。IgA抗体またはIgG抗体が陽性となった数を合計すると、秋田県実施分の27%、秋田市実施分の31%に及ぶことがわかった。抗体陽性となった被験者に対しては、抗原検査を薦めることにより医療機関への受診を促している。

感染症発生動向調査から得られた情報とこれらを合わせてみると、性器クラミジア感染症は増加傾向がみられた。このようなことから今後ともこれら検査の迅速性および精度向上に努めていきたい。

秋田県衛生科学研究所
安部真理子 斎藤博之 佐藤寛子 原田誠三郎 笹嶋 肇 八幡裕一郎 佐藤智子
秋田市保健所健康管理課

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