クラミジア抗体検査状況(エイズおよび性感染症相談・検診事業から)−鳥取県

(Vol.25 p 203-204)

鳥取県では、5カ所の保健所(支所含む)において「エイズ相談」および希望者のHIV抗体検査を1988年から開始し、2001年6月からは「エイズおよび性感染症(STD)相談事業」として、STD検査項目を増やし、HIV、梅毒、クラミジア抗体検査、淋菌培養検査を無料で実施している。検査項目は相談内容により選択され、当所で検査対応している。

「エイズおよび性感染症相談事業」を開始した2001年から3年間のSTD検査件数は、HIV 604件、梅毒296件、淋菌147件、クラミジア291件である。

クラミジア抗体検査件数は、2001年46件、2002年89件、2003年156件と増加傾向を示している(図1)。その3年間の検査件数291件について年齢分布をみると、20代が最も多く129件、次いで30代68件、10代37件となっている。10代37件のうち30件が女性であり、20代では男性とほぼ同数の64件が女性であった。

検査データの解析が可能であった2カ所の保健所における3年間の検査結果では、195人中25人(13%)が抗体陽性であった。25人のうち20代が12人(48%)、30代が7人(28%)であった。そのうち6人がIgGとIgAともに陽性であり、すべて女性であった。

一方、感染症発生動向調査による性器クラミジア感染症患者報告数は、近年女性の増加傾向が顕著であり、2003年では、211人(男性60人、女性151人)となっている(図2)。

女性の相談者数の増加、患者報告数の増加がみられており、特に女性では無症状であることが多く、感染拡大が危惧される。

本県では、これらの事業を通してSTD予防の啓発を行うとともに、高校生へのエイズ教育を実施する等、STDの低年齢化の防止に役立てている。

鳥取県衛生環境研究所・保健衛生室 川本 歩 黒川ちひろ

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