世界でのポリオ根絶にむけての進捗、2003年〜2004年4月


(Vol.25 p 211-212)

世界的なポリオ根絶を目指した1988年の決議以来、戦略的な取り組みによって、ポリオ流行国は1988年の125カ国以上から2003年の6カ国に減少した。しかし、2003年には野生ポリオウイルス(WPV)の輸入例が西および中央アフリカの8カ国、南アフリカ(ボツワナ)、中東(レバノン)の計10カ国で報告された。

2002年の小児における経口ポリオワクチン3回接種率(OPV3)は、世界全体で75%と推定されている。WHOアフリカ地域事務局管内では56%、ポリオ流行国ではアフガニスタン48%、エジプト97%、インド70%、ニジェール、ナイジェリアともに25%、パキスタン63%であった。

補足的ワクチン接種活動(SIAs)については、2003年には55カ国で4億1,500万人の5歳未満児に実施された。ナイジェリアのカノ地方では、OPVの安全性に関する根拠のない噂が流れ、実施に至らなかった。WPV輸入例が報告された西および中央アフリカ8カ国では、2,500万人の5歳未満児に対して、時期を同じくしての接種活動が行われた。

AFP(急性弛緩性麻痺)サーベイランスは2つの指標(15歳未満人口10万人あたり、非WPVであるAFP報告が1例以上あること、それらの80%以上で適切な便検体が採取されていること)によりモニターされるが、2003年における世界全体の非ポリオAFP率は1.9であり、2004年は1.5と推定される。適切な便検体採取率は2003年が86%、2004年は87%と推定される。

WPV症例報告数は、2002年の1,918例から2003年には784例へと減少した。2003年にはインド225例(前年1,600例。イスラム教集団における症例が多かったことから、同グループへの介入を積極的に実施)、パキスタン103例、アフガニスタン8例、エジプト1例、ナイジェリア355例、ニジェール40例の報告があり、また、以前にポリオが根絶されていた西・中央アフリカ地域のベニン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コートジボワール、ガーナ、トーゴの各国から、合計51例が報告された。

(WHO, WER, 79, No.25, 229-234, 2004)

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