キャンピングカー利用者におけるエコーウイルス9型に関連した無菌性髄膜炎集団発生、2003年−米国

(Vol.25 p 240-240)

2003年8月コネチカット州公衆衛生部は、同州北東部のキャンプ場においてキャンピングカーを利用した滞在者の中から、3名の無菌性髄膜炎症例の報告を受けた。同部はCDCの協力を得て、疫学調査を行った。

調査は後ろ向きコホート研究として、シーズン中当該キャンプ場を利用した者を対象に、インタビューにより情報を収集した。その結果、回答が得られた201名の利用者中、無菌性髄膜炎症例が12名(発症率6%)、それ以外のエンテロウイルス様疾患症例が24名みられた(合計しての発症率18%)。4名の無菌性髄膜炎症例が入院し、髄液検体が得られた。そのうち3名に関してはCDCでエコーウイルス9型が、残り1名に関しては、臨床検査室においてPCRでエンテロウイルスが確認された。年齢の比較では健常人(中央値38歳;8カ月〜80歳)に比べて無菌性髄膜炎症例(中央値14歳;3〜42歳)、エンテロウイルス様疾患症例(中央値15歳;3〜64歳)は若く、性別の比較では、女性の割合が健常人群の中で40%であったのに比較して、疾患発症群で67%と多かった。発症曲線からは6〜8日間隔で4つのピークが見られた。入院した4名はそれぞれ異なったキャンプ地で過ごした。この4名のうち3症例の母親が、子供が発症する6〜8日前にエンテロウイルス様疾患に罹患していた。発症率は利用者数が多いキャンプ地ほど、また低年齢の者ほど統計学的に有意に高かった。そして、キャンプ場のプールで頭を沈める回数が多いほど、発症率が有意に高かった。

そのプールはシーズン中の日中、特に週末は非常に混雑していた。塩素注入には自動注入機が用いられており、塩素濃度は1日2回、朝と夕方に測定されていた。しかし、7月下旬〜8月にかけてはほぼ毎日、夕方の塩素レベルは低下していた。さらに、プールの管理人は国の認可を得た者ではなかった。

この集団発生を受けて、キャンプ場はプールの塩素濃度を適切に保つこと、トイレやゲームルームなどの共用の場所を清掃・消毒することなどが求められた。利用者には印刷物や郵便物により、トイレ使用後、オムツ交換後、食事の前には手を洗うこと、食器や飲み物容器を共有しないこと、プール使用前にはシャワーを浴びること、熱性疾患罹患児の保護者は、症状が改善するまで児をキャンプ地に留めておくことが指示された。

(CDC, MMWR, 53, No.13, 710-713, 2004)

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