今夏の手足口病、ヘルパンギーナ患者からのウイルス検出状況−愛知県

(Vol.25 p 231-231)

手足口病:愛知県(名古屋市を除く)では、2004(平成16)年4月〜7月末までに手足口病の患者21名中3名からコクサッキーウイルスA16型(CA16)がVero細胞より分離された(18名については検査中)。5月に1歳、6月に1歳および2歳の患者から分離された。ウイルス同定には国立感染症研究所分与のCA10、CA16、EV71抗体を用いたが、中和反応では同定できず、塩基配列(VP1およびVP4領域)による同定を行った。

愛知県では、CA16は2001(平成13)年から引き続き手足口病の原因ウイルスの主流になっている。2003(平成15)年には手足口病患者40名からCA16が18件、エンテロウイルス71型(EV71)が20件、アデノウイルス1型およびアデノウイルス5型が各1件分離されたが、昨年もっとも多く検出されたEV71は現在のところ検出されていない。

今季は手足口病の患者報告が定点当たり最高 0.5と非常に少ないが()、さらに調査が必要である。

ヘルパンギーナ:4月〜7月末までにヘルパンギーナ患者52名中21名からウイルスが検出された。ウイルスの検出は細胞培養と遺伝子検出を併用して行った。検出ウイルスの内訳はコクサッキーウイルスA4型(CA4)が19件、CA10、CB5が各1件、陰性が11件であった(20名については検査中)。CA4の検出例の年齢は0〜4歳が17名(90%)であった。

今季はヘルパンギーナの患者報告が第20週(5月10日〜16日)で定点当たり1.0となり、第25週(6月14日〜20日)に5.0と最高に達した後、第31週(7月26日〜8月1日)では 1.0と減少の傾向にある()。今年は早くから暑かった影響か、流行ピークが例年より早かったように思われる。

愛知県でもヘルパンギーナの患者から検出されるウイルスは年ごとに大きく変化しており、CA4は2002(平成14)年には患者40名中25名(63%)からと、多数検出された(その他はCA5が2件、CA6が1件、CA10が2件、CA16が1件)が、2003年は患者40名中1名(2.5%)から検出されたのみであった(もっとも多く分離されたのはCA6の14件で、その他はCA2が2件、CA5およびCA10が1件、CA16が2件、CB3が1件、エコーウイルス18型が1件、インフルエンザウイルスAH3型が1件、HSV-1が2件)。

本年は、全国的にもCA4の検出報告が多いことから、愛知県を含め全国的な今季ヘルパンギーナの主要原因ウイルスと考えられる。

愛知県衛生研究所・微生物部
伊藤 雅 山下照夫 小林愼一 佐藤克彦 秦 眞美 藤浦 明 榮 賢司

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