仙台市内および仙台市周辺における真夏のRSウイルス感染症の流行、2004年7〜8月
(Vol.25 p 265-266)

2004年7〜8月、仙台市内およびその周辺でRSウイルス(RSV)感染症の流行と思われる現象をとらえたので報告する。

国立病院機構仙台医療センター・ウイルスセンターは、おもに呼吸器系感染症の疾患を対象に、年間を通して、広く地域の医療機関から臨床材料を受け入れ、マイクロ・プレートにまいた多種類の培養細胞への検体接種(マイクロプレート法)によるウイルス分離を行い、その成績に基づくウイルス感染症の疫学を行っている。その過程で本年7〜8月に仙台市内の病院(小児科・耳鼻科)を受診した患者から、この季節としては異例なほど多数のRSVを分離した。この2カ月間に0〜16歳の357名の患児から採取した咽頭ぬぐい液または鼻汁 357検体をHEF、HEp-2、Vero、MDCK、LLC-MK2、HMV-II、B95aの7種すべての培養細胞に接種しているが、接種後HEp-2細胞のみに特徴的な合胞体を形成しRSVの分離を疑わせる検体が、7月は下旬を中心に7例(7/202:3.4%)、8月は18例(18/155:11.6%)、合計25例にのぼった。これらの分離ウイルスは、RNAを抽出後、RSVに特異的なプライマー(A、Bサブタイプ共通のプライマー)を用いたRT-PCRによる確認試験を行ったところ、すべてRSVであった。さらにその後、サブグループA、Bを区別するプライマーを用いたPCRで、サブタイプまで決定した。

今回RSVが分離された患児の年齢は、0歳12例、1歳5例、2歳5例、3歳3例であった。中には兄弟間での感染例も6例(3家族)あった。これらのうち臨床症状が報告されている18例の内訳は下気道炎16例、急性中耳炎2例であった。また25例中15例が入院加療を受けていた。サブグループはAが22例、Bが3例であったが、特にBグループがある地域に偏在していたという傾向はなかった。

過去5年間の我々の仙台市内の検査検体数とRSVの月別分離数をに示す。毎年、初冬〜初春にかけて流行する傾向があるが、その他の月でも分離がないわけではなく、ほとんど通年分離されている。しかし4月〜10月にかけて1カ月間に分離数が5例を超えたことはなく、本年7月の7例、8月の18例の分離は冬季に匹敵するものであった。今年の夏の分離依頼検体数が例年にくらべて高いということもなく、またこれらが仙台市内の異なる地域にある複数の医療機関の検体からの分離であったことから、この夏、仙台市内およびその周辺でRSV感染症が広く小児に流行していたものと判断された。

なお、この間、仙台市における感染症発生動向調査による定点報告では、8月最終週に3件報告があるだけで、特にRSV感染症の流行は捉まえられていない。今回の流行は、今後真夏でもこのようなRSV感染症の流行があることを知っておく必要があることを知らしめてくれた格好の事例であった。

独立行政法人国立病院機構仙台医療センター・ウイルスセンター
岡本道子 近江 彰 千葉ふみ子 田中 泉 伊藤洋子 鈴木 陽
渡邊王志 西村秀一
東北厚生年金病院・小児科 貴田岡節子
東北労災病院・小児科 高柳玲子 石澤志信、耳鼻咽喉科 矢野寿一
永井小児科医院 永井幸夫
庄司内科医院  庄司 眞

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)



ホームへ戻る