急性脳炎患者からのコクサッキーウイルスA2型の分離−広島市

(Vol.25 p 265-265)

広島市感染症発生動向調査事業において、検査定点医療機関で急性脳炎と臨床診断された患者から採取された咽頭ぬぐい液および糞便からコクサッキーウイルスA2型(CA2)が分離されたのでその概要を報告する。

患者は広島市内在住の4歳11カ月の女児で、2004年7月1日に発病し、同日医療機関を受診し、急性脳炎と診断された。主な症状は発熱(39.5℃)、肺炎、意識障害および熱性痙攣であった。検体は7月1日に咽頭ぬぐい液、髄液および糞便の3検体が採取され、広島市衛生研究所に搬入された。HE、HEp-2、RD-18S、Vero、WI38の5種類の培養細胞を用いウイルス分離を行った結果、咽頭ぬぐい液および糞便からRD-18S細胞でCA2が分離された。髄液からはウイルスは分離されなかった。ウイルスの同定には国立感染症研究所分与の中和用抗血清を用い、容易に同定された。

広島市では今年に入り、本症以外に5人からCA2が分離されている()。臨床診断名は無菌性髄膜炎、ヘルパンギーナ、感染性胃腸炎、急性扁桃炎および不詳各1人ずつで、検体採取月は2月1人、6月3人、7月1人であった。なお、臨床診断名不詳の1例は、発熱、意識障害、熱性痙攣と、比較的重篤な症状を呈していた。

広島市衛生研究所
藤井彰人 山本美和子 野田 衛 池田義文 松本 勝 荻野武雄

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