2004(平成16)年6月30日(水)16時から第8回インフルエンザワクチン需要検討会が開催され、厚生労働科学研究班において実施した医療機関等調査および世帯調査の結果報告を行い、次シーズンのインフルエンザワクチン需要の検討を行った。
また、次シーズンのインフルエンザワクチンの安定供給に関する対応について検討を行った。
1.調査結果概要
(1)医療機関等調査:抽出医療機関に対し、2003(平成15)年度の世代別のインフルエンザワクチン接種人数、接種回数および次シーズンの需要量の調査票をシーズン前に発出し、シーズン終了後に回収。以下の需要見込本数を算出。
最大値 | 最小値 | |
幼児・児童(13歳未満) | 646万本 | 646万本 |
成人(13〜64歳) | 627万本 | 565万本 |
高齢者(65歳以上) | 625万本 | 606万本 |
合 計 | 1,898万本 | 1,817万本 |
(注) | ・最大値は、幼児・児童が2回接種、成人および高齢者の1回接種・2回接種の割合が現状通りとした場合。 |
・最小値は、幼児・児童が2回接種、成人および高齢者が1回接種とした場合。 |
最大値 | 最小値 | |
幼児・児童(13歳未満) | 537万本 | 520万本 |
成人(13〜64歳) | 661万本 | 613万本 |
高齢者(65歳以上) | 613万本 | 572万本 |
合 計 | 1,811万本 | 1,705万本 |
(注) | ・最大値は幼児・児童が2回接種で 6,000円、 |
成人は1回接種・2回接種の割合が80%が1回接種、20%が2回接種とした場合で | |
1回の接種費用が 3,000円、高齢者は1回接種で 1,000円とした場合。 | |
・最小値は幼児・児童が2回接種で 8,000円、 | |
成人は1回接種・2回接種の割合が80%が1回接種、20%が2回接種とした場合で | |
1回の接種費用が 4,000円、高齢者は1回接種で1,500円とした場合。 |
2.次シーズンの需要検討結果
今回の医療機関等調査と世帯調査の結果、本年度のワクチン需要は、1,705〜1,898万本程度と考えられる。一方、本年のワクチンメーカーの製造予定量は、1,996.5万本(※)であり、その需要に見合うだけの供給はなされるものと考えられる。
また、世帯調査において、SARS(重症急性呼吸器症候群)および鳥インフルエンザの国内患者が発生した場合の影響を考慮したうえでの予測は、各世代計でそれぞれ1,887〜1,998万本、1,815〜1,921万本が予測されている。
[※その後、2004(平成16)年9月7日現在で、計2,061万本になった(図)。]
3.次シーズンのインフルエンザワクチンの安定供給に関する対応について
需要検討会において、昨シーズンの経験から、次シーズンのインフルエンザワクチンの安定供給に関する対応策を決めたことに基づき、厚生労働省は2004(平成16)年8月10日付けで、都道府県、製造業者・販売業者等および医療機関の関係団体に下記の内容を通知した。
[都道府県]
○シーズン前に、関係者からなるインフルエンザ対策委員会を開催し、管内の在庫状況等を短期間に把握することが可能な体制やワクチンが不足した場合のワクチンの融通方法等をあらかじめ取り決める。
○予防接種法に基づく定期予防接種については、接種期限を12月末までの間に設定するよう、市区町村に対して依頼する。
○医療機関等、卸売販売業者に対し、ワクチンの返品を行わないよう協力を求める。状況によっては、厚生労働省は接種シーズン終盤に多量にワクチンを返品した医療機関等の名称を公表することも検討する。
○ワクチン不足時に、品質が確保されたワクチンの融通について協力を求める。
[製造業者・販売業者等]
○全生産量のうち、100万本のワクチンを不足時の融通用として、製造業者および販売業者が保管する。なお、その出荷については厚生労働省が調整する。
○医療機関等の注文量が前年の使用実績を3割以上上回らないように配慮する。
○医療機関等へ分割納入を行う。
[医療機関]
○上記内容に協力する。
○ワクチン不足時に、その融通をする場合は品質の確保がされていることが必要であるため、規定された貯法(遮光して、10℃以下に凍結をさけて保存)を遵守する。
厚生労働省医薬食品局血液対策課