2003年10月〜2004年9月の間、インフルエンザの活動性は全体的に軽度から中等度であった。世界79の国/地域でインフルエンザウイルスの検出が報告され、31の国/地域でインフルエンザA/H1N1、A/H1N2、A/H3N2型、あるいはB型の集団発生が報告された。北米と西ヨーロッパでは流行は過去3シーズンより激しく、より早い2003年10月に始まり、11〜12月にピークに達した。アジアと東ヨーロッパでは12月と1月がピークであった。南半球では比較的軽度で推移した。
ほとんどの国ではA/H3N2が優勢で、全世界的にも流行の主流であった。分離株の大半がワクチン株であるA/Fujian(福建)/411/2002やA/Wyoming/3/2003に類似していたが、最近分離されたA/H3N2では、A/Wellington/1/2004類似株の割合が増えていた。A/H1N1とA/H1N2は世界のほとんどの地域で低レベルの活動性がみられたが、AH1 の集団発生は数カ国で認められ、赤血球凝集素(HA)はワクチン株のA/New Caledonia/20/99と類似していた。B型は低いレベルで伝播しており、1カ国で集団発生が報告された。ほとんどの分離株は山形系統のB/Shanghai(上海)/361/2002類似であったが、一部はビクトリア系統のB/Hong Kong(香港)/330/2001により類似していた。
2004年1月1日〜9月28日までにタイとベトナムから、A/H5N1ヒト感染例(検査確定例)の42例(死亡30例を含む)が報告された。これらの症例は、家禽での高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)流行に関連していた。現時点で、人→人感染の証拠はほとんど得られていない。2003年12月には香港で、A/H9N2のヒト感染例1例が報告された。また、2004年3月にはカナダのブリティッシュコロンビアから、家禽での集団発生に関連したA/H7N3の感染例2例が報告された。人→人感染は確認されていない。
(WHO, WER, 79, No.43, 385-388, 2004)