イングランド、ウェールズのリステリア症、2004年−英国

(Vol.25 p 305-306)

リステリア症は食品由来感染症であり、特に妊婦や免疫不全者が罹患すると重篤になる。潜伏期間が3〜70日と長いのが特徴で、リスク食品は、長期間の冷蔵保存が可能な食品や、ソフトチーズ、パテ、スライス肉のように加熱せずに食べる食品などである。リステリア症強化サーベイランスシステムの報告によると、2001年以来、リステリア症の発生はイングランドとウェールズにおいて増加していた。1990年代には毎年約100例の報告であったが、2001年と2002年にはそれぞれ146例と139例であり、2003年には大幅に増加して234例となり、春にピークを形成した。症例は北イングランド地方に多く、4つの明らかに異なるクラスターが確認された。ヒト、食品、および環境からの分離株で分子的型別を行ったが、4つのクラスターのうち1つはバター、2つはサンドイッチが原因と考えられたが、残る1つでは不明であった。また、これらのクラスターのみでは、2003年の症例数の増加を説明できなかった。

2004年1〜8月では、リステリア症の数は2001年および2002年と同じレベルにあり、今年は春の増加は見られていない。他の地域と比して、ヨークシャー、ハンバーサイド、東ミッドランド、ウェールズで症例が多い。妊婦での症例の報告は3例のみである。2003年にはバターが推定感染源であったので、健康防護局(HPA)の「環境および消化器疾患部門」により、全国的なバターの調査が実施されている。

(CDSC, CDR Weekly, 14, No.37, 2004)

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