日本のAIDS患者・HIV感染者の状況

(Vol.25 p 306-307)

(平成16年6月28日〜9月26日)
厚生労働省健康局疾病対策課
平成16年10月21日

エイズ動向委員会委員長コメント(要旨)

 1.今回の報告期間は2004(平成16)年6月28日〜9月26日までの約3カ月である。法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は209件で過去最高となった[前年同時期152件/これまでの最高199件(平成16年4月〜6月)]。新規AIDS患者報告数も126件で過去最高であった[同71件/同106件(平成15年10月〜12月)]。

 2.性別に見ると、HIV感染者報告数209件のうち182件(約87%)、AIDS患者報告数126件のうち110件(約87%)を男性が占めており、男性のHIV感染者およびAIDS患者の動向が全体の動向を左右している。

 3.感染経路別に見ると、HIV感染者では同性間性的接触によるものが男性120件(感染者全体の約57%)と最も多く、異性間性的接触によるものは58件(約28%)で、うち男性39件・女性19件であった。一方、AIDS患者では同性間性的接触によるものが男性44件(患者全体の約35%)、異性間性的接触によるものも44件(約35%)で、うち男性34件・女性10件であった。

 4.年齢別に見ると、HIV感染者では20代・30代の占める割合が高く、感染者全体の約76%(158件)を占めている。一方、AIDS患者では患者分布はHIV感染者より高年齢層に広がっているが、今回17件(うち日本国籍13件)の20代の患者報告があった。これらは10代で感染したと推測され、若年層への感染の拡がりを示唆するものである。今後の若年層の患者報告の動向に注目する必要がある。

 5.平成16年7月〜9月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は16,607件(前年同時期13,732件)、自治体が実施する保健所以外の検査件数は5,111件(同4,119件)、保健所における相談件数は34,168件(同30,743件)であった。昨年に比べていずれも増加しており、検査・相談に対するニーズが増えていることがうかがえる。

 6.平成16年1月〜9月の献血件数(速報値)は4,097,758件で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は73件(昨年同時期48件)であった。10万件当たりの陽性件数は1.781件であり、陽性頻度が増加している。

 7.今回の報告では、HIV感染者、AIDS患者報告のいずれもが四半期の報告として過去最高となり、特に、千葉県、埼玉県、東京都、静岡県、愛知県からのAIDS患者報告の増加が顕著であった。これらのAIDS患者は、発症によりはじめてHIV感染が発見された人たちであると思われる。したがって、都道府県等においてはこれまで以上に、保健所を中心に、利用者の利便性(たとえば時間帯など)に配慮した検査・相談事業を推進し、HIV感染の早期発見による早期治療と感染拡大の抑制に努める必要がある。加えて、利用者の要求に適切に対応できるよう、積極的に迅速検査を導入していくことも必要である。

また、普及啓発については、12月1日の世界エイズデー等のあらゆる機会で推し進める必要がある。

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