水痘ワクチン2回接種の有効性

(Vol.25 p 329-330)

水痘ワクチンは免疫不全患者などのハイリスク患者を対象に開発されたが、現在広く健康小児にも接種され、高い予防効果が得られている。しかし、水痘の流行時にはワクチンを接種した児の中にも水痘に罹患する症例が認められ、臨床的にはしばしば問題となり複数回接種の必要性も検討されている。われわれは保護者の同意を得て、水痘ワクチン接種後に抗体検査および水痘皮内抗原液による皮内テストを実施し、水痘に対する液性免疫、細胞性免疫を獲得しなかった症例に対して、水痘ワクチン再接種を実施した。これらの水痘ワクチンを2回接種した症例において水痘に対する免疫獲得を調べるとともに、アンケートによる罹患調査を行い、複数回接種の有効性を検討したので報告する。

対象は大阪大学医学部附属病院ワクチン外来において1994年4月〜2000年10月までに水痘ワクチン1回接種後、抗体反応あるいは水痘皮内抗原による細胞性免疫反応のいずれかにおいて陽転が認められず、水痘ワクチンを再接種した73名。平均年齢は5歳4カ月(1歳4カ月〜28歳)の男性43名、女性30名。基礎疾患は、アレルギー疾患が37名、神経疾患が9名、悪性腫瘍が8名、先天異常が7名、循環器疾患が6名、消化器疾患が3名、免疫不全1名、先天性感染症が1名、健康1名であった。ワクチン接種後6〜8週後に採血し、IAHA法にて水痘抗体を測定した。同時に水痘皮内抗原液による皮内テストを実施し、48時間後に発赤が5mm以上のものを陽性として判定した。これらの症例に対し、その後水痘に罹患したかどうかを、水痘患者との接触の有無を含めてアンケート調査をおこなった。

その結果、2回目の接種前に抗体陰性であったものが36例あったが、2回接種後の抗体価は1例を除いて全例で陽性であった。また抗体が陽転しなかった1例と1回接種後に既に抗体陽性でその後の上昇が認められなかった2例を除き2回目接種による抗体価の上昇がみられた。皮内テストは2回目接種前に30例が陰性であったが、2回接種後は2例を除いて陽転した。アンケート調査の解答は49例から得られ、そのうち11例に水痘患者との明らかな接触があったが、水痘に罹患した症例はなかった(図1B)。

今回の調査とは別に、以前に実施した水痘ワクチン接種者に対するアンケート調査では、ワクチン接種後の水痘罹患は、明らかな患者との接触があった場合その約15%に認められていた(図1A)。発症した症例の臨床症状は必ずしも軽症ではなかった(表1)。今回2回接種後の患者においては、接触があっても発症した症例がなかったことから、1回接種にくらべて高い予防効果が得られていることが推測された。

大阪府立公衆衛生研究所 宮川広実*
国立感染症研究所 多屋馨子*
市立堺病院 天羽清子*
大阪大学大学院微生物学講座 指原淳志*
*大阪大学大学院小児発達医学講座

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