今冬初発集団かぜからのAH1型インフルエンザウイルスの分離−岡山県

(Vol.25 p 335-336)

2004年11月11日に岡山県南部のA幼稚園で今冬初発の集団かぜが発生した。報告によれば、在園児151名のうち年少組の1クラスに所属する34名中13名が「かぜ様症状」を示し欠席したため、即日学級閉鎖の措置がとられた。患者のうち5名から咽頭ぬぐい液を採取し、MDCK細胞を用いたインフルエンザウイルス分離を試みた。なお保健所の疫学調査によると、検体を採取した5名の主症状は発熱(38〜39℃)、上気道炎、咳および頭痛などであった。また、5名中1名のみがワクチンを1回接種(2004年11月6日)していたが、残り4名は未接種であった。

検査の結果、5名中1名(ワクチン未接種)からモルモット赤血球に凝集能を有するウイルスが分離された。そこで、分離ウイルスについて国立感染症研究所より分与された2004/05シーズン用インフルエンザウイルス同定キットを用いて赤血球凝集抑制(HI)試験を実施した。その結果、分離ウイルスは抗A/New Caledonia/20/99(H1N1)血清(ホモ価 640)にHI価 640、抗A/Moscow/13/98(H1N1)血清(ホモ価 2,560)にHI価40であったのに対し、抗A/Wyoming/03/2003(H3N2)血清(ホモ価 2,560)および抗B/Johannesburg/5/99血清(ホモ価 1,280)にはいずれもHI価<10であった。

以上より、今冬初発の集団かぜから分離されたインフルエンザウイルスはAH1型であり、今シーズンのワクチン株であるA/New Caledonia/20/99に類似した抗原性を有していることが明らかになった。

岡山県環境保健センター 葛谷光隆 濱野雅子 藤井理津志 小倉 肇
倉敷市保健所 太田久恵 綱島公子 曽根啓一

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