髄膜炎菌サーベイランス、2003年−オーストラリア

(Vol.26 p 47-47)

オーストラリアでは1994年から、各州のレファレンスラボと協力した全国的な国立ナイセリアネットワーク(NNN)により、侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)患者から分離された髄膜炎菌のサーベイランスが行われている。2003年に検査室診断で確定されたIMD患者は494例であり、うち303例(61%)は分離培養で、191例(39%)は培養以外の方法により確定された。

分離培養による報告数は2002年(393例)、2001年(338例)のいずれをも下回った。季節では7〜9月が 111例(36%)で最も多かったが、冬季にピークがみられるのはいつものことである。年齢では0〜4歳[0歳40例(13%)、1〜4歳53例(18%)]がピークであり、次いで15〜19歳が52例(17%)と多い。

分離された髄膜炎菌はB群183例(60%)、C群102例(34%)、Y群10例(3.3%)、W-135群5例(1.6%)、A群1例で、C群は2002年の162例(41%)から減少した。0〜4歳の93例ではB群78例(84%)、C群12例(13%)であるのに対し、15〜24歳の87例では、B群44例(51%)、C群39例(45%)で、B群は4歳以下がピーク、C群は15〜24歳がピークであった。

分離材料は髄液55例、血液238例、滑液7例、皮膚、眼、腹膜各1例であり、髄液と血液の比は0.23:1であった。

転帰(生存または死亡)については214例(71%、うちB群123例、C群76例)から情報が得られ、全体で死亡が16例(7.5%)、うちB群5例、C群11例であった。診断名でみると、髄膜炎39例中死亡が2例(いずれもB群)、敗血症169例中死亡が14例(B群3例、C群11例)で、Y群、W-135群による死亡例はなかった。

薬剤感受性試験で判定できた髄膜炎菌300株のうち、ペニシリン感性(MIC≦0.03mg/l)が99株(33%)、低感受性(MIC 0.06〜0.5mg/l)が200株(67%)、耐性(MIC ≧1mg/l)が1株であった。また、セフトリアキソンとシプロフロキサシンにはすべて感性であったが、リファンピシン耐性が2株みられた。

培養以外の方法では、2002年(187例)とほぼ同数の191例が検出されており、内訳は核酸増幅法(NAA)169例、EIAによる抗体検査法22例であった。NAA陽性の髄膜炎菌はB群101例、C群43例、W-135群1例、不明24例で、EIA陽性22例中、8例はC群と判明した。NAA 陽性例で転帰の判明した86例中、死亡が8例で、内訳はB群2例、C群6例であった。

(Australia CDI, 28, No.2, 194-206, 2004)

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