日本のAIDS患者・HIV感染者の状況
(平成16年9月27日〜平成17年1月2日)


(Vol.26 p 49-50)

厚生労働省健康局疾病対策課
平成17年1月26日

エイズ動向委員会委員長コメント(要旨)

平成16年第4四半期報告:今回の報告期間は、2004(平成16)年9月27日〜2005(平成17)年1月2日までの約3カ月である。

1.法定報告に基づく新規報告数は、HIV感染者が190件、エイズ患者が93件であった。過去最高であった前回報告(※)からは数字の上では減少している(※平成16年第3四半期・7月〜9月:HIV感染者209件、AIDS患者126件)。

2.性別に見ると、HIV感染者・AIDS患者ともに、従来と同様、約9割が男性である。HIV感染者報告数190件、うち男性173件(91%)、AIDS患者報告数93件、うち男性86件(92%)。

3.感染経路別に見ると、HIV感染者190件のうち、同性間性的接触が124件(65%)、異性間性的接触が41件(22%)であり、AIDS患者(93件)では、同性間性的接触が36件(39%)、異性間性的接触が36件(39%)となっている。第3四半期に比較してHIV感染者は209件から190件に減少しているが、同性間性的接触は120件から124件(うち日本国籍113件から120件)と増加している。同性間性的接触ではHIV感染者が124件、AIDS患者が36件であるのに対し、異性間性的接触ではHIV感染者が41件、AIDS患者36件であった。両者を比較すると、異性間感染においてHIV 感染者数の割合がAIDS患者数に比較し非常に少ない。この違いの理由の一つとして異性間感染ではHIV感染の捕捉率が低い可能性があり、数字に表れていないHIV感染が示唆される。

4.年齢別に見ると、HIV感染者では20代・30代の占める割合が高く、感染者全体の75%(143件)を占めている。AIDS患者では、30代以上で92%(86件)を占めているが、20代の報告も7件(うち日本国籍5件)あった。

5.2004(平成16)年10月〜12月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は22,286件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は6,329件、保健所における相談件数は44,654件と、いずれも前回報告よりも2割から3割増加した。例年に比べ、この四半期での増加が顕著であった。これは、疾病対策課が各自治体を対象に行ったHIV抗体検査に関するアンケート(平成16年10月20日)や平成16年10月29日付厚生労働省健康局疾病対策課長通知(「HIV抗体検査に係る迅速な検査方法の導入推進」)等を踏まえ、各自治体において積極的に検査・相談に取り組んだ成果であると思われる。上記HIV検査に関するアンケート調査時点で、通知にある迅速検査、休日・夜間検査をかなりの自治体で実施していた。しかし、いずれをも実施していない自治体があり、その中には、通知発出後の第4四半期に発出前の第3四半期と比較し、検査件数が増加せず、むしろ減少した自治体も見られた(宮城県、奈良県、和歌山県、島根県、香川県、鹿児島県)。

平成16年年間報告(速報値):第97回〜第100回動向委員会のデータ[2003(平成15)年12月29日〜2005(平成17)年1月2日]を集計して、2004(平成16)年1年間を通しての数値を速報値として報告する。

6.2004(平成16)年1年間の新規報告数(速報値)は、HIV感染者748件、AIDS患者366件と、いずれも過去最高(※)となった。また、平成16年1年間の「保健所等におけるHIV抗体検査件数」(速報値)は、8万件を超え過去10年間において、最多件数となった(※これまでの最高は平成15年で、HIV感染者640件、AIDS患者336件、計976件)。

7.2004(平成16)年1年間の献血件数(速報値)は5,473,119件(昨年5,621,096件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は92件(昨年87件)であった。10万件当たりの陽性件数は1.681件(昨年1.548件)で、過去最高となった。

8.2004(平成16)年1年間の新規報告数(速報値)はHIV感染者・AIDS患者のいずれも過去最高となり、年間報告数としては感染者・患者合わせて1,114件で初めて1,000件を突破した。

国民は感染の可能性が身近にあることを認識し、積極的にHIV抗体検査を受けるなど、早期発見・早期治療に努めてほしい。

そのためにも、各都道府県等においては、引き続きAIDS予防についての普及啓発や医療体制の整備等について推進していくとともに、検査体制については、迅速検査の導入など利用者の利便性に配慮した工夫を図るようお願いする。

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