一方、新規AIDS患者報告数は79件(うち男性73件、女性6件。前回報告93件)で、前年同時期の新規AIDS患者報告数は69件である。
2.感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが132件(全HIV感染者報告数の約64%)と最も多く、そのうち131件が日本国籍男性であった。また、異性間性的接触による新規感染者報告数は49件(全HIV感染者報告数の約24%、うち男性32件、女性17件)である。
一方、新規AIDS患者では同性間性的接触によるものが27件(全AIDS患者報告数の約34%)、異性間性的接触によるものが22件(全AIDS患者報告数の約28%、うち男性20件、女性2件)となっている。なお、男性 AIDS患者で同性間性的接触が異性間性的接触を上回りはじめたのは2003(平成15)年頃からである。
年齢別では、新規HIV感染者は20〜30代が大多数(75.4%)を占め、新規AIDS患者は30〜50代と広く分布している。
要約すると、感染者・患者とも90%以上を男性が占め、その中でも同性間性的接触による感染が大多数を占めるという状態である。
3.2005(平成17)年1月〜3月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は18,913件(前年同時期は15,684件)、相談件数が34,231件(前年同時期34,634件)であった。
4.2005(平成17)年1月〜3月の献血件数(速報値)は1,310,191件(前年同時期1,374,281件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は24件、10万人当たりの陽性人数は1.832件(前年同時期1.019件)であった。この数字は、感度の高い核酸増幅検査を全国的に導入した1999(平成11)年10月以降、第1四半期の数字としては最も高い。
5.この四半期における新規HIV感染者報告数は過去2番目に多く、2005(平成17)年4月3日までに、累積HIV感染者報告数および累積AIDS患者報告数は合計で1万件を超えた。新規HIV感染者報告数を感染経路別に見ると、男性同性間性的接触が過去最高の報告数となり、中でも、若年層の占める割合が大きい。以上のことは、日本国内でHIV感染が広がりつつあることを示唆していると思料する。
国民は日本国内でHIV感染が広がり、感染機会が増えつつあること、献血は安全な血液を供給するためのものであることなどを含めて、HIV・AIDSについての理解を深め、積極的に予防やHIV抗体検査の早期受診に努めるべきである。都道府県等においても、普及啓発を推進するとともに、保健所を中心に、利用者の利便性(例えば時間帯・場所など)に配慮した検査・相談事業を一層推進して、HIV感染の早期発見による早期治療と感染拡大の抑制に努める必要がある。