B/Victoria系統株が分離されたインフルエンザ集団発生事例−岐阜県

(Vol.26 p 121-121)

岐阜県における2004/05シーズンのインフルエンザの流行は、AH3 型とB型の2つの型によりおこり、B型ではB/山形系統株に加え一部B/Victoria系統株による集団発生がみられたのでその概要を報告する。

患者発生状況:県内の集団かぜ患者届出は、2004年第45週から始まり2005年第5週をピークに第11週で終息した。発生動向調査の患者発生は2004年第45週から始まり2005年第9週をピークに第13週現在まで続いている()。

ウイルス分離状況:インフルエンザウイルス分離検査は、集団かぜで学級閉鎖等をされた12の幼稚園および小学校の生徒118人のうがい液をMDCK細胞に2代継代して実施した。分離ウイルスの同定は、国立感染症研究所から分与された抗原・抗血清を用いて行った。

インフルエンザウイルスは、AH3型が4施設から26株、B型が5施設から25株がそれぞれ分離され、さらにAH3型5株とB型1株が分離された施設もあった。

これらのB型分離株はA/H3N2およびA/H1N1の抗血清に対してはHI価<10であった。B型分離株のうち19株は抗B/Johannesburg/5/99血清(ホモ価 1,280〜 2,560)に対してHI価 80〜 1,280を示したが、抗B/Brisbane/32/2003血清(ホモ価 640〜 1,280)に対してHI価は<10でB/山形系統株であることを示し、残りの7株は抗B/Brisbane/32/2003血清(ホモ価 640〜 1,280)に対してHI価 160〜 320を示したが、抗B/Johannesburg/5/99血清(ホモ価 1,280〜 2,560)に対してHI価は<10でB/Victoria系統株であることを示した。

なお、B/Victoria系統株は、すべて、1月20日に県内のT市内で学級閉鎖をされた小学校3年生のクラスの患者10人中7人の検体から分離されたものである。このクラスは生徒31人中23人がかぜ症状を呈しており、B/Victoria系統株によるクラス内感染があったと思われる。

岐阜県保健環境研究所 猿渡正子 野田伸司

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