2004年に広域において見出された同一PFGEタイプを示す腸管出血性大腸菌O157およびO26について

(Vol.26 p 140-140)

国立感染症研究所・細菌第一部に送付され、解析を行った2004年分離のヒト由来腸管出血性大腸菌(EHEC)は2,608株あり、そのうちO157は1,987株、O26は507株であった(2005年2月現在)。

1)Xba Iによるパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)パターンはO157で957種類(Type No.1〜957)見られ、少なくとも3つ以上の異なる都道府県から分離された同一PFGEパターンが29種類あった。このうち、5以上の都道府県から分離されたO157には7種類の泳動パターンがあり(図1、Lane A〜G)、Bln IによるPFGEパターンにおいてもそれぞれ同一パターンと考えられた。これらの株が分離されている期間は約40日〜130日の長期にわたっていた。特にType No.112(図1、Lane B)およびNo.292(図1、Lane A)のパターンを示す株は、それぞれ12都道府県、19都府県の広域から分離されており(図2)、O157のなかでの分離比率は、それぞれ1.6%、5.7%であった。一方、29種類のパターンのうち6種類(Type No.74、91、167、236、465、620)については菌株の分離期間が14日以下であり、分離地域もそれぞれのパターンで異なった3または4都府県に限られており、比較的限定された発生を示していた。

2)集団発生事例由来株を中心とした507株のO26のXba Iによる泳動パターンは230種類存在し、ほとんどの事例でそれぞれパターンが異なっていた。ただし、Type No.26の泳動パターン(図1、Lane H)を示す株については、4カ月以上にわたって9県から散発および集団発生事例から分離されていた(図2)。

このように広域に及ぶ同一PFGEタイプのO157あるいはO26による事例が発生していることが判明したものの、それぞれのタイプにおける汚染源が共通のものであるかについては不明である。今後の事例発生の早期探知による拡大予防が必要であるとともに、原因究明に向けた対策が重要である。

国立感染症研究所・細菌第一部
寺嶋 淳 泉谷秀昌 伊豫田 淳 三戸部治郎 田村和満 渡辺治雄

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