2004年10月〜2005年1月の期間中に、アフリカ、南北アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアからインフルエンザの報告があったが、全般的に昨年の同時期より活動性は低かった。ほとんどの国ではインフルエンザウイルスA/H3N2型が主流であったが、A/H3N2型とともにB型が流行した国も多かった。AH1型の分離は散発的であり、A/H1N2型はヨーロッパでわずかに報告されたのみである。鳥における高病原性鳥インフルエンザの流行に関連して、2003年12月〜2005年2月9日に、カンボジア、タイ、ベトナムからヒトのA/H5N1型感染55例が報告された。WHOは2004年1月6日、インフルエンザパンデミック対応準備の分類でPhase 0 Level 2としており、その後変わってはいない。現在のところ、ヒト→ヒト感染が継続的に生じているとする証拠は見つかっていない。
感染フェレット血清を用いた赤血球凝集抑制(HI)試験により、分離株の抗原性を検討した。AH1型分離株のほとんどはA/New Caledonia/20/99(H1N1)に類似していた。A/H3N2型では、A/Fujian(福建)/411/2002やA/Wyoming/3/2003などの標準株に類似するウイルスも見られたが、最近の分離株ではA/California/7/2004類似株の割合が増えつつある。B型分離株の75%はワクチン標準株のB/Shanghai(上海)/361/2002(山形系統)と類似しており、他はB/Hong Kong(香港)/330/2001(Victoria系統)類似であった。
A/New Caledonia/20/99(H1N1)、A/Wyoming/3/2003(H3N2)、B/Shanghai(上海)/361/2002 あるいはB/Jiangsu(江蘇)/10/2003を含む3価不活化ワクチン被接種者の血清を調べたところ、最近のAH1 型分離株に対するHI抗体はワクチン株に対してと同程度であったが、A/California/7/2004類似株(H3N2)に対するHI抗体価の幾何平均は、ワクチン株に対してよりも78%低かった。
2005/06インフルエンザシーズンにおいて推奨されるワクチン株(北半球)
A/New Caledonia/20/99(H1N1) 類似株
A/California/7/2004(H3N2) 類似株
B/Shanghai(上海)/361/2002 類似株
(WHO, WER, 80, No.8, 71-75, 2005)