小児および思春期児童の急性B型肝炎、1990〜2002年−米国

(Vol.26 p 154-154)

米国では、1991年にB型肝炎伝播の“排除”に対する包括的戦略が採択されてから、急性B型肝炎の発生は着実に減少した。特に、同年に全乳児に対するB型肝炎ワクチン接種の勧奨がなされてから生まれた小児で、減少が最も顕著である。1995年には11〜12歳児に対して、1999年には接種歴のない18歳以下の児童に対してもB型肝炎ワクチン接種が勧奨された。米国CDCは1990〜2002年の急性B型肝炎全数報告サーベイランス、2001〜2002年の強化サーベイランスについて疫学的解析を行ったが、後者は、1990年以降の出生小児の急性B型肝炎症例を対象としたものである。

1990〜2002年に、19歳以下の急性B型肝炎は13,829例報告された。発生率は1990年の人口10万対3.03から2002年の0.34へ、89%の減少をみた。年齢別では、思春期児童での発生率がそれ以下の小児より常に高かったが、全年齢層で発生率の低下が確認された。1990年の人種別の発生率は、アジア・大洋州島民(A/PIs)が人口10万対6.74で最多であり、白人は1.39で最少であった。2002年にはA/PIsが0.55で最多であり、次いで黒人が0.51、アメリカインディアンおよびアラスカ原住民(AI/ANs)が0.43、白人が0.16であった。1990〜2002年の期間での発生率は、A/PIsで92%、白人で88%、黒人で88%、AI/ANsで84%の減少をみた。1990年以降、白人とA/PIs、白人と黒人の間での発生率の差は、それぞれ93%、88%減少した。

強化サーベイランスで確認された19例のうち、7例がA/PIs、5例が白人、4例が黒人、3例が不明であった。8例が米国外出生児で、うち6例が国際的養子であった。

小児および思春期児童における急性B型肝炎の発生率が減少するに伴い、ワクチン接種勧奨の効果を評価するためには、正確なサーベイランスデータがますます重要になる。

(CDC, MMWR, 53, No.43, 1015-1018, 2004)

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