大阪府管内では昨(2004)年5、6月に小学校等を中心としたノロウイルスの集団発生が9件発生した。通常ノロウイルスの流行期は初冬から春先とされてきたが、昨年に引続き本年も小学校などを中心としたノロウイルス集団発生が5、6月に多発した。
2005年6月15日現在で大阪府立公衆衛生研究所にて検査を実施し、ノロウイルスを検出した事例は20件にのぼり、患者数は1,143名となった(表1)。100名を超える患者数となった事例は3事例あり、いずれも小学校で発生した。なかでもNo.4の事例では全校生徒580名・職員29名中、386名(63%)の患者が発生した。嘔吐下痢症状を示す児童が学年をまたいで散発し、それが次第に拡大した結果、3日間にわたる1つ目の発生ピークになったと考えられた。その後も感染が拡大し大規模発生となった。その他、A群ロタウイルス、C群ロタウイルス、サポウイルスGIによる集団発生が認められた。
ノロウイルスの検出にはキャプシド領域のN末端を増幅するG1SKF/G1SKRとG2SKF/G2SKRを用いた(一部G1F/G1R, G2F/G2Rを使用)。その増幅領域の塩基配列をダイレクトシークエンスにて決定したところ、GI.3(DSV type)が2事例、GII.2(Melksham type)が5事例、GII.3(Mexico type)、GII.4(CAW type)、GII.5(Hillingdon type)がそれぞれ1事例、GII.6 (SaitamaU16, Seacroft type)が6事例、GI.3とGII.6の混合事例が1例であった(3事例は解析中)。
昨年の同時期に発生した9事例がすべてGII.2 (Melksham type)であったのに対し、本年の流行は数種のgenotypeによって形成されていた。引続き詳細な解析を行っている。
大阪府立公衆衛生研究所・感染症部
左近直美 山崎謙治 依田知子 塚本定三 大竹 徹