ヒトの旋毛虫症、1990〜2004年−リトアニア

(Vol.26 p 225-225)

ヒト旋毛虫症はこの14年間(1990〜2004年)で総数 3,705例が報告されているが、ほとんどは1990年代初期の報告であり、ピークは1992年と1994年にみられた。リトアニアではこの期間、大規模集団農場が大幅に減少して、私的な養豚業が行われるようになった。そのような施設の一部では飼育や屠殺が不適切で、その結果、野生動物から家畜が感染するリスクが上昇した。ブタの旋毛虫感染率は1981〜1985年の0.0027%から1993年の0.1%へと増加したが、それ以降は継続的に減少している。

1970〜1980年におけるヒト症例の約70%の感染源はイノシシ肉であったが、1990年以降は豚肉が主となっている。家庭でのブタの屠殺、食肉検査の未実施、違法な食肉取り引きが原因と思われる。しかし、時々イノシシ肉による大規模集団発生が起こり、2001年の集団発生では69名(2001年の症例の65%)が感染した。毎年、患者の10〜42%は感染源が不明であり、発生に季節性はみられていない。1998〜2004年の集団発生(疫学的に関連する2例以上の発生)の総数は47件、患者数は401名であった。そのうち51%は、小規模家族経営農場で飼育され家庭で屠殺し、獣医師による検査が行われていない豚肉が感染源であった。11%は、違法に販売された食肉、あるいは検査が行われずに販売された食肉が感染源であった。また、さらに11%は感染源が不明であった。過去12年間におけるリトアニアでの旋毛虫症の発生率は、人口10万人当たり1992年の21.8例から2004年の0.6例に減少している。毎年、16歳未満の年齢層が全体の20%を占めている。

リトアニアでは法律で、屠殺されたブタと捕獲された野生イノシシのすべてに旋毛虫検査が義務づけられ、これには現在、圧平標本鏡検法と人工消化法の2種類がある。疫学データは、リトアニアにおけるヒトの旋毛虫症予防には徹底した教育、特に小規模豚繁殖業者への教育が必要であることを示唆している。

(Eurosurveillance Weekly 10, Issue 28, 2005)

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