コクサッキーウイルスA6型を原因とした手足口病、ヘルパンギーナの流行−奈良県

(Vol.26 p 222-222)

奈良県での手足口病およびヘルパンギーナの患者検体搬入は、手足口病が2005年4月9日を初発とし、4月:1例、5月:2例、および6月:5例の計8例で、また、ヘルパンギーナは4月26日を初発として4月:1例、および5月:5例の計6例であった。両疾患の発生地域はともに奈良市を中心としたもので県北部に限局しており、中部および南部からの検体搬入は極めて少数であった。

ウイルス検出方法は、臨床検体(咽頭ぬぐい液)から直接VP1領域を標的としたRT-PCR法を行い、塩基配列判読から型を同定した。

検索の結果、手足口病では8例中4例(50%)がコクサッキーウイルスA6型(CA6)、2例(25%)がコクサッキーウイルスA16型、他2例からは検出されなかった。一方、ヘルパンギーナでは6例中6例(100%)からCA6が検出された。いずれも検出されたCA6は、402/CA6/Shiga/1999株と極めて高い相同性(塩基レベルで89〜95%)を有するもので、両疾患の主原因ウイルスであったと考えられた。

なお、本県における近年のCA6検出状況は、2001年:手足口病から5例、2003年:手足口病から1例およびヘルパンギーナから7例で、今年のように両疾患がともにCA6を主原因とした流行は見られなかった。

奈良県保健環境研究センター 井上ゆみ子 中野 守 北堀吉映

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