2003/04年度における新入園児のワクチン接種率−米国

(Vol.26 p 248-248)

2010年に向けた国家的健康目標の1つに、幼稚園児〜小学校1年児のワクチン接種率を95%以上に維持することがある。CDCは2002/03年度より新しいオンライン報告システムを用い、各州および米国領から、幼稚園に入園する小児のワクチン接種率に関する報告を受け、解析を行っている。

ポリオ、ジフテリア/破傷風トキソイド/百日咳(DTP)またはジフテリア/破傷風トキソイド/百日咳(無細胞)(DTaP)またはジフテリア/破傷風トキソイド(DT)、麻疹、風疹などのワクチンに関する接種率は50カ所(州およびコロンビア特別区)、ムンプスワクチンについては49カ所、B型肝炎ワクチンについては43カ所、水痘ワクチンについては33カ所から報告された。接種率の決定の際、接種回数ではなく、アップデート(UTD)であるかどうかを基にした。50州のうち、幼稚園の入園児全員の調査に基づく報告が22州、80%以上の調査に基づく報告が21州であったが、他の7州では20%未満の調査に基づく報告であった。B型肝炎および水痘を除くすべてのワクチンの接種率が90〜95%であったのは16州(31.3%)、95%を超えたのは29州(56.9%)であった。国レベルで見ると、水痘(93.3%)を除くすべてのワクチンの接種率が95%を超えていた。

米国領8カ所のうちの5カ所(63%)から、ポリオ、DTP/DTaP/DT、麻疹、ムンプス、風疹、B型肝炎などのワクチンを含む接種率の報告があった。2カ所からは、水痘ワクチンの1回接種率の報告もなされた。DTP/DTaP/DTを除くすべてのワクチンについて、接種率は86%を超えていた。

州法で入園時にワクチン接種証明を求めているが、これは米国のワクチンプログラムにとっての“safety net”と言われている。小児でのワクチン接種率は19〜35カ月時に国レベルで調査されているが、それに比べて幼稚園入園時には接種率が高くなっている。このことは、接種率を確実に高めるには“入学法(school entry laws)”が重要であることを示唆している。

この結果には2つの制約がある。第1には、州あるいはそれ以下の地方によりワクチンの種類、接種回数が異なり、サンプリングの方法が異なるために、入園時のワクチン接種率の算定法が異なることである。第2には、私立の施設に通う小児、家庭における教育のみを受けている小児については、ワクチン接種率に関する調査が行われていないことである。

(CDC, MMWR, 53, No.44, 1041-1044, 2004)

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