高力価ワクチン接種は、高齢者における帯状疱疹の疾病負荷とヘルペス後神経痛の発生を減少させた

(Vol.26 p 248-249)

最近行われたランダム化二重盲検試験によれば、帯状疱疹弱毒生ワクチン接種により、高齢者における帯状疱疹の疾患負荷が減少した。帯状疱疹の最も重要な臨床所見は急性神経炎と、その後のヘルペス後神経痛である。この神経痛は、50歳を超える高齢者での帯状疱疹の25〜50%に発生しうる。この痛みは数カ月以上、さらには数年間持続することがあり、生活の質(QOL)を低下させ、重症の場合は身体障害にまで至ることもある。

このランダム化試験で検討したことは、健康な高齢者に水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)ワクチンを接種すると、VZVに対する細胞性免疫を賦活化し、帯状疱疹やヘルペス後神経痛を防ぐのではないかとの仮説である。60歳以上の高齢者38,546人を、VZVワクチン(Oka/Merck)接種群とプラセボ接種群にランダム化した。また、少なくとも30年以上米国(大陸)に在住し、水痘の既往のある者を対象とした。免疫抑制状態にある者、プロトコールに従えない者は除外した。小児の水痘予防で承認されているOka/Merck 水痘ワクチンの含有ウイルス量が1,350pfuであるのに対し、今回使用されたワクチンは18,700〜60,000pfuのウイルスを含有していた。対象者の経過観察は平均3.12年行われたが、帯状疱疹はワクチン接種群で315件(5.42/1,000人年)、プラセボ群で642件(11.12/1,000人年)認められた(p <0.001)。ワクチンの効果は61.1%(95%CI 51.1-69.1)であった。また、ヘルペス後神経痛の発生率は、ワクチン接種群の0.45/1,000人年に対し、プラセボ群で1.38/1,000人年で(p < 0.001)、ヘルペス後神経痛に対するワクチンの効果は65.5%(95%CI 47.5-79.2)であった。ワクチン接種による重篤な副反応はなく、接種部位の腫脹はあったものの軽度であった。

著者らは、帯状疱疹の発生率で見ると、ワクチン接種群では70歳以上で高く、この年代ではワクチンの効果が低いと思われるが、重症度の軽減という点では、高齢者の方がワクチン効果が高いことを見出した。

イングランドとウエールズでは、1年間に帯状疱疹のために20,000 QALYsが失われ(ヘルペス後神経痛では 17,400 QALYs)、帯状疱疹関連疾患の治療費用は年間約8,000万ユーロにのぼると推計されている。健康や経済での損失の大きさを考えると、高齢者への帯状疱疹ワクチンは費用対効果が高いと期待される。高齢者での高い罹患率やワクチンの効果を考慮すると、稀でも重篤な副反応の発生を検出し、様々なグループにおけるワクチンの効果を検討するために、多数のワクチン接種者を注意深く追跡するのを条件とし、定期接種として本ワクチンを接種することについて考えるべきである。

(Eurosurveillance Weekly, 10, Issue 23, 2005)

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