髄膜炎菌性髄膜炎:3年間の強化サーベイランス−アフリカ

(Vol.26 p 346-346)

髄膜炎菌性髄膜炎は世界中で散発的に発生しているが、特に"髄膜炎ベルト"と呼ばれるサハラ以南アフリカ地域に集中している。2000年までは、アフリカにおいてはA群菌による流行が多く、A・C群の2価ワクチンにより対応可能であったが、2001年より西アフリカ地域においてW-135群菌の分離が増加してきた。2003年シーズンには、A、C、W-135群の3価ワクチンがアフリカ地域においても使用可能となったが、使用できる量が限られているため、W-135群菌に関連した流行に限られて使用されている。

2002年よりWHOはアフリカ12カ国において、髄膜炎流行の早期探知と病原体の早期同定、薬剤耐性のモニタリング、血清群のモニタリングからなる強化サーベイランスを実施しており、毎週情報が収集され、解析されている。2003〜2005年のデータでは、髄膜炎疑い例は2003年22,752例から2005年7,171例、流行地域は2003年48地区から2005年15地区へと減少している。ブルキナファソとニジェールからは3年連続して、全疑い例のうち55%以上の症例が報告されている。2005年はチャドとエチオピアにおいて流行の件数が多かった。2005年の致死率はマリの4%からベナンの26%と、国ごとに幅があったが、季節的な変動はなかった。その他、致死率が高かったのはブルキナファソとコートジボワールであった。

平均して疑い例の22%から髄液検体が採取されたが、採取率は国により差があった。分離菌は依然、A群髄膜炎菌が主流であった。W-135群菌は各地で検出されているが、流行の原因となっているのは、ブルキナファソやチャドなどの難民キャンプなどの限られた地域である。

この3シーズンでは、過去20年の間では髄膜炎菌性髄膜炎の活動性は相当低いが、今後も大規模流行が発生するリスクがあるため、強化サーベイランスを継続することが必要である。

(WHO, WER, 80, No.37, 313-320, 2005)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)



ホームへ戻る