英国においては2000年から淋菌薬剤耐性サーベイランスプログラムが始まり、毎年6〜8月に国内の24カ所の検査室は、淋菌のすべての分離株を性感染症細菌リファレンスラボに提出している。また、患者背景やリスク行動についての情報も、関連の医療機関より集められている。
シプロフロキサシン耐性率は、2003年の9%から2004年の14%へと有意な上昇が認められた。2004年のシプロフロキサシン耐性率を地域別に分けると、これまでと同様にすべての地域において5%を超えていたが、ヨークシャーとハンプシャーの6%からノースイーストの36%と幅があった。2004年の異性愛男性からの分離菌のシプロフロキサシン耐性率は11%で、以前と変わらないが、女性の5%に比べ有意に高かった。同性愛の男性におけるシプロフロキサシン耐性率は、2003年の11%から2004年の27%と有意に上昇している。ペニシリン耐性率は2003年は10%、2004年11%と変わりなかった。うち、プラスミド性耐性率は6%であり、2003年と同様であった。テトラサイクリン耐性率は、2003年の38%から2004年の45%へと有意に上昇した。アジスロマイシン耐性率は2003年の1%から2004年の2%へと、小幅ながら有意に上昇した。スペクチノマイシン耐性率は稀であり、0.2%であった。セフトリアキソン、セフィキシム耐性株は分離されなかった。
現在のガイドラインでは第一選択剤として、第3世代セファロスポリン系薬であるセフトリアキソンまたはセフィキシムを推奨しているが、2004年は症例の70%がセファロスポリン系薬で治療されており、うち半数以上はセフィキシムであった。現在、フルオロキノロン系薬(シプロフロキサシンやオフロキサシン)は第一選択剤として推奨されていないが、4分の1近くの患者に用いられていた。今後もこのようなサーベイランスを継続していくことが、淋菌感染症の予防と治療に結びつくと考えられる。
(CDSC, CDR Weekly, 15, No.32, 2005)