肺炎球菌は米国における肺炎および髄膜炎の主な原因菌であり、特に小児と老人が罹患する。米国では2000年より7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)が、5歳未満の小児の定期予防接種に認可された。2001および2002年のサーベイランスデータでは、小児および成人における重症肺炎球菌感染症(IPD)発生の有意な減少を認めた。本報告は、CDCおよび一部の州が運営するサーベイランス協力プログラムである新興感染症プログラムネットワークの、積極的重点細菌サーベイランス(ABCs)から得た地域住民データを用い、2003年までのPCV7の効果評価の最新情報である。
本解析の結果から、1)幼児に対するPCV7による定期予防接種の結果、接種対象年齢のみならず、年長児および成人のIPD発生率は継続して有意に減少、2)2003年においてはPCV7予防接種により、予防接種を受けた小児への直接効果と比較して、集団免疫による間接効果が2倍以上認められた、3)ワクチンに含まれない血清型の肺炎球菌による発症の増加(別の血清型への置換)は一部の集団で認められているものの、ワクチンに含まれる血清型全体による発症の減少と比べると、少なかった。
ワクチンに含まれる血清型によるIPDの減少が持続すること、および、血清型の置換により定期接種の実質的な効果が減少することの2点を評価するため、今後もサーベイランスを継続する必要性が示唆された。
(CDC, MMWR, 54, No.36, 893-897, 2005)