レユニオンにおけるチクングニヤの流行

(Vol.27 p 75-75:2006年3月号)

チクングニヤは、2005年初めにコモロ諸島で大きな流行が発生してから、インド洋諸国で感染伝播している。そして同年3月に、レユニオンで最初の1例が見つかった。その後、レユニオンではチクングニヤの発生が続いている。

現在、疫学サーベイランスは、積極的症例探査を行っている移動ベクターコントロールチームからのデータを元にしている。症例定義では、急激な38.5℃以上の発熱と、日常生活に支障が出るほどの関節痛を有する者を疑い例、IgM抗チクングニヤウイルス抗体陽性、および/あるいは、RT-PCRによるウイルスRNA検出かウイルス分離がなされた者を確定例とした。

2005年3月28日〜2006年1月8日にかけて、疑い例と確定例を合わせて7,138例の報告があり(うち、確定例は30%)、住民 1,000人当たり9.4人の罹患率であった。流行曲線では2005年5月9〜15日に一番目のピークを形成し、2005年9月終わりから再び増加し、2005年の最終週に急激な増加を示した。男女比は0.68である。地理的にみると、島の北部では最初の流行ピーク時に発生が増え、島の南部と東部では次のピーク時に発生が増加した。主な臨床症状としては発熱99.6%、関節痛99.2%、筋肉痛97.7%、頭痛84.1%であったが、他に出血傾向が23%に見られた。2,570例の検討では入院例は3.9%であったが、チクングニヤを直接の原因とする死亡例は見られなかった。

生後5日以内に急性感染症状と髄膜脳炎を呈した新生児6例で、チクングニヤの診断が確定したが、それらの母親は分娩前48時間以内に、急性チクングニヤ感染を生じていた。成人においても、高齢あるいは基礎疾患のために状態の悪い高齢者6例において、髄膜脳炎が認められた。これら神経症状を呈したのは、患者1,000例中1.7例であった。

他の近隣諸島と異なり、レユニオンでは南半球の夏季の到来とともに、チクングニヤの発生が再び増加した。流行は集積した形で広がり、町から町へ伝播しているようにみえるが、このような動きはベクターコントロール策の効果、および曝露された集団が次第に免疫を獲得していることによる可能性がある。

(Eurosurveillance Weekly, 2 February 2006)

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