グリコペプチド耐性腸球菌菌血症サーベイランスワーキンググループの報告−英国

(Vol.27 p 106-106:2006年4月号)

標記の報告がJournal of Hospital Infectionに公表された。このワーキンググループは、グリコペプチド耐性腸球菌(GRE)菌血症サーベイランスが義務付けられることに鑑み、関連する諸問題を検討するために設立された。腸球菌の同定方法、グリコペプチドに対する感受性検査の方法を述べ、GRE菌血症の報告に関し、以下の指針を提出した。

 ・たとえば、菌血症の発生率に対して意味のある分母を用いるなど、改善に向けて段階的なアプローチを行っていくこと。
 ・病院におけるGRE菌血症発生率は、件数が少なすぎるため、到達度の指標として用いるべきではない。
 ・GRE菌血症については、動向が変化しているかどうかの指標として、病院における臨床的に重要な菌血症すべてに対する割合として算出すべきである。
 ・GREのほとんどは専門的ユニットに関連することが多いので、GRE菌血症の報告に当たっては、患者が感染した際に所属していたユニットが分かるようにすべきである。
 ・1年間に5件を超えるGRE菌血症が発生している病院からは、患者がGRE菌血症に感染した専門的ユニットでの臨床行為に関するデータを入手すべきである。
 ・GRE陽性血液培養については、臨床的重要性を評価すべきである。(菌血症の定義に従って)GREを含む菌血症が臨床的に重要であると判断されれば(単一菌であろうと複数菌であろうと)、GRE菌血症として報告すべきである。
 ・菌種ごとでの耐性率のデータを得るため、血液培養で分離された腸球菌については、菌種レベルでの同定を行うべきである。
 ・生化学的同定は、抗菌薬に対する感受性パターンによって、より確実にする必要がある。たとえば、Enterococcus faecalis がアンピシリン耐性で、かつ/またはキヌプリスチン/ダルホプリスチン感性と思われる場合、あるいはEnterococcus faecium がアンピシリン感性で、かつ/またはキヌプリスチン/ダルホプリスチン耐性と思われる場合、それらの同定および感受性検査を再検討し、本当であると確認されたならば、分離株をレファレンスラボに送付して、さらなる検査を行う必要がある。
 ・血液培養で分離された腸球菌の感受性検査では、バンコマイシンに対して行うべきである。その目的のためには、バンコマイシンの代わりにテイコプラニンを使うことは受け入れられない。
 ・腸球菌のグリコペプチドに対する感受性検査では、標準化された方法を用いるべきであり、技術的な要求事項には厳格に従うべきである。
 ・1年後には状況を再評価し、必要に応じて方法論の改訂を行うべきである。

上記報告の全文はhttp://www.intl.elsevierhealth.com/journals/jhin/を参照。

(CDSC, CDR Weekly, 16, No.8, 2006)

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