2006年1月、高知県南国市T中学校(生徒数156名)においてインフルエンザの集団発生がみられ、17日と19日に1学年、23日と25日に2学年が学級閉鎖の措置をとった。主な臨床症状は突然の発症、38℃を超える熱、咽頭痛であった。
17日、T中学校と同じ地区にある感染症発生動向調査の検査定点医療機関より、3名の生徒(同中学1学年:14日、16日採取)の咽頭うがい液が当所に搬入され、MDCK細胞を用いて分離を行った結果、全員からB型インフルエンザウイルスが分離された。増殖は良好で、MDCK細胞培養初代で2日後に0.75%モルモット血球に対しHA凝集価128を示し、国立感染症研究所分与のキットで型別した結果、抗A/New Caledonia/20/99 およびA/New York/55/2004に<10で、山形系統のワクチン株であるB/Shanghai(上海)/361/2002に対する抗血清に対しては反応せず、ビクトリア系統の代表株B/Brisbane/32/2002に対する抗血清に対しては320〜640を示した。
また、24日にも上記医療機関より4名の生徒(同中学2年:20日〜23日採取)の咽頭うがい液が搬入され、いずれもビクトリア系統のB型が分離された(上記と同様抗B/Brisbane/32/2002に対するHI価160〜320)。このことから、T中学校の集団発生はB型によるものであろうと思われた。
後日、同中学校がインフルエンザ発症生徒から聞き取り調査を行った結果(医療機関での簡易キットの検査結果)は表のとおりであった。この結果からも今回の集団発生がB型によるものであると推測される。
今季南国市のT中学校から始まったB型インフエンザの発生は徐々に拡がりをみせ、3月上旬現在、県下全域に拡がっている。分離されたB型インフルエンザウイルスは、A型の抗血清およびB/Shanghai(上海)/361/2002には反応せず、抗B/Brisbane/32/2002に対するHI価は640〜1,280である。しかし、中国四国地区において本県以外ではB型インフルエンザウイルスは現在まで分離されていない。
高知県衛生研究所 戸梶彰彦 千屋誠造 永安聖二 大野賢次 依光邦憲