【平成18年第1四半期】
1.今回の報告期間は2006(平成18)年1月2日〜3月26日までの約3カ月である。法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は198件(うち男性174件、女性24件。前回報告195件)で、前年同時期の新規HIV感染者報告数は207件である。一方、新規AIDS患者報告数は92件(うち男性84件、女性8件。前回報告89件)で、前年同時期の新規AIDS患者報告数は79件である。
2.感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが127件(全HIV感染者報告数の約65%)と最も多く、そのうち118件が日本国籍男性であった。また、異性間性的接触による新規感染者報告数は47件(全HIV感染者報告数の約24%、うち男性29件、女性18件)である。
一方、新規AIDS患者では同性間性的接触によるものが35件(全AIDS患者報告数の約38%)、異性間性的接触によるものが29件(全AIDS患者報告数の約32%、うち男性27件、女性2件)となっている。
年齢別では、新規HIV感染者は20〜30代が多数(約77%)を占め、新規AIDS患者は30〜50代と広く分布している。
要約すると、感染者・患者とも88%以上を男性が占め、その中でも同性間性的接触による感染が約63%を占めている状態である。
3.2006(平成18)年1月〜3月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は18,547件(前年同時期20,820件)、自治体が実施する保健所以外の検査件数は5,287件(前年同時期4,180件)、保健所における相談件数は37,203件(前年同時期42,798件)となっており、保健所においては検査件数および相談件数が減少し、保健所以外の検査件数は増加した。
4.2006(平成18)年1月〜3月の献血件数(速報値)は1,227,759件(前年同時期1,310,191件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は25件、10万人当たりの陽性人数は2.036件(前年同時期1.832件)であった。前年同時期も陽性率が高かったが、今回も高値となった。
5.この四半期における新規HIV感染者報告数およびAIDS患者報告数はいずれも前回報告を超え増加傾向にあるが、保健所における検査件数および相談件数はいずれも前年同時期より減少し、保健所以外の検査が前年同時期よりも増加した。新規HIV感染者報告数を感染経路別に見ると、男性同性間性的接触は依然半数を超え、若年層にもHIV感染が広がっている。この点を考慮し、国民はHIV・AIDSについての理解を深め、積極的に予防やHIV抗体検査の早期受診に努めるべきである。さらに保健所等を中心に、利用者の利便性(例えば時間帯など)に配慮した検査・相談事業を推進し、HIV感染の早期発見による早期治療と感染拡大の抑制に努める必要がある。