小学校でのC群ロタウイルスによる集団感染事例−島根県

(Vol.27 p 121-122:2006年5月号)

2006年2月、県内のA小学校においてC群ロタウイルスによる急性胃腸炎の集団発生を経験したので、その概要を報告する。

2月27日、教育委員会から管轄保健所に感染性胃腸炎(疑い)のためA小学校(児童632名、職員42名)6年生の1クラス(35名中有症者19名、うち欠席8名)で学級閉鎖措置をとったとの報告が入った。保健所が校医および学校から聞き取り調査を行ったところ、当該小学校区では感染性胃腸炎が流行しており、小学校では23、24日から胃腸炎による欠席者が増加していた。一方、近隣校の欠席状況は平常値であった。保健所は原因究明と蔓延防止のため調査を実施した。

2月24日〜27日に発症した児童4名(3年生2名、6年生2名)、職員1名、計5名の便についてウイルス検査を行った結果、R-PHA法によるC群ロタウイルス検出用試薬で全例陽性(RPHA価4〜128)、C群ロタウイルスVP7を標的とするRT-PCR1)でも全例陽性となった。なお、リアルタイムPCRによるノロウイルス、RT-PCRによるアストロウイルスおよびサポウイルス、市販キットによるA群ロタウイルスおよびエンテリックアデノウイルスの検査はすべて陰性であった。

保健所は27日の学級閉鎖の連絡があった直後から学校に対し、便所、手すり、机等の消毒等、ノロウイルスに準じた感染防止対策を指導するとともに、家庭での二次感染防止のために対策チラシを配布した。また、集団発生の全容解明のため、全校児童の家庭へアンケート調査(2月10日〜3月3日までの児童および家族の健康調査)を実施した。アンケート調査(回答数615名)の結果、下痢、嘔吐、嘔気、腹痛のいずれかの症状のあった者の発症日を学年ごとにまとめると()、1学年では2月10日に既に3名の有症者を認め、12、13日にピークがあること、その後も各学年1〜3名/日の発症者が続いた後、25日に発症者が急増したため集団発生が探知されたことが明らかとなった。そこで、調査期間中前述の胃腸炎症状があった者を今回の集団発生の有症者と定義すると、有症者数は児童 220名、職員7名、さらに家庭内感染と思われる児童以外の者99名であった。児童および職員(227名)の症状は下痢71%、発熱60%、嘔吐52%、嘔気52%、腹痛67%であった。3月14日には欠席状況がほぼ平常値に戻ったことから、終息と判断した。

国内のC群ロタウイルス集団発生事例のほとんどは4〜6月に発生しており、本事例のように冬季に発生した例は稀である。県内ではピークは過ぎたものの、AH3型を主体とするインフルエンザウイルスが流行中であったが、この小学校では既に1月18日〜31日の間に3つの学年の4クラスでインフルエンザ流行(胃腸炎症状なし)による学級閉鎖が行われており、アンケート調査でもインフルエンザと診断された者がいなかったことから、インフルエンザウイルスによる紛れ込みの可能性は少なく、本事例の有症者はC群ロタウイルスによる発症と考えられた。

 文 献
1) Kuzuya, M, et al., J Clin Microbiol 34: 3185-3189, 1996

島根県保健環境科学研究所 飯塚節子 田原研司 川向明美 糸川浩司 保科 健

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)



ホームへ戻る