エコーウイルス18型の検出状況─大分県

(Vol.27 p 230-230:2006年9月号)

大分県における無菌性髄膜炎患者の検体からのウイルス分離は、2002年のエコーウイルス13型による流行以後の3年間はいずれも少数にとどまっていた。しかし、2006年5月初旬に無菌性髄膜炎を発症した6歳の患児髄液よりエコーウイルス18型(E18)が大分県内で初めて分離同定された。その後、6月に入って無菌性髄膜炎の検体搬入が急激に増加するとともに同型ウイルスが頻繁に分離されるようになり、7月初旬現在までに合計26症例から29株のE18を検出した。

E18が検出された検査材料は髄液17検体、咽頭ぬぐい液12検体であった。また、26症例のうち10症例は複数の検査材料(咽頭ぬぐい液と髄液)を用いてウイルスの検出を行ったが、両材料からウイルスを検出できたのは3症例で、咽頭ぬぐい液単独からの検出が6症例、髄液単独からの検出が1症例であった。

月別分離数は5月2症例(2株)、6月20症例(22株)、7月4症例(5株)で、臨床診断名は無菌性髄膜炎22症例、咽頭炎1症例、不明熱性疾患等3症例であった。26症例の年齢分布は1歳2症例、3歳2症例、4歳2症例、5歳4症例、6歳6症例、7歳2症例、8歳1症例、9歳2症例、13歳1症例、不明4症例であった。

ウイルス分離はHEp-2細胞、RD-18S細胞、Vero細胞、CaCo-2細胞を用いた。CaCo-2細胞ではウイルス分離可能であった29検体すべてで細胞変性効果(CPE)が出現したのに対し、RD-18S細胞でのCPE出現は11検体で、HEp-2細胞とVero細胞ではCPEが出現しなかった。ウイルスの同定にはCaCo-2細胞培養上清を用い、市販のエンテロウイルス混合抗血清、単味抗血清を用いて行った。

なお、現在も無菌性髄膜炎の検体が多く搬入されており、流行はまだ続くものと思われる。今後の動向を監視していきたい。

大分県衛生環境研究センター
吉用省三 長岡健朗 小河正雄  川島眞也 渕 祐一

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)



ホームへ戻る