2006年の麻しん流行状況−千葉県

(Vol.27 p 228-228:2006年9月号)

千葉県の麻疹の小児科定点報告数は2001年1,484例、2002年1,321例、2003年623例、2004年72例、2005年34例と激減し、WHOの示す「制圧期」から「集団発生予防期」に入ったものと考えられていた。ところが、2006年4月の茨城県の学校での集団感染に引き続き、千葉県でも第18週以降連続して複数の報告があり、第30週までの累積報告数は90例にものぼった。これは全国350例の26%を占め、千葉県の2003年同時期の定点報告と同等であった。

報告は茨城県南部に近接する柏、松戸から始まり、発生地域は山武、印旛、柏、習志野、千葉市に集積傾向が見られた()。発症年齢は15〜19歳で全体の4分の1を占めるというこれまでとは異なる型を示し、高校生にも流行が及んだことを示した。

病原体サーベイランス等によるウイルス検査では、麻しんウイルス陽性は7例で、培養陽性が1例のみで、RT-PCR陽性が7例で、すべてD5型であった。これらのワクチン歴は、培養陽性例が未接種で、RT-PCRのみ陽性が既接種5例、未接種1例であった。

現在の感染症発生動向調査で麻しんは全数報告でないため全体の発生状況把握ができず、また、本年4月に改正された「届出基準」では対象が15歳未満で麻しん主要3症状を満たしたものとなっており、高校生例や修飾麻しん例を報告できないことは問題と考えられた。

千葉県衛生研究所
一戸貞人 三瓶憲一 小倉 誠 斎加志津子 篠崎邦子 小川知子 岡田峰幸
吉住秀隆 窪谷弘子

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