2006年シーズンに分離されたエコーウイルス18型の性状について

(Vol.27 p 230-231:2006年9月号)

2004年にはエコーウイルス(E)6型とE18の分離が数多く報告された。2006年には3月末に北九州市でのE18の分離報告以来、西日本を中心に分離報告が続いている。分離された患者の臨床症状は発疹、上気道炎、無菌性髄膜炎などである。咽頭ぬぐい液、髄液、および便からRD-18S細胞を用いて分離されている。

中和法を用いて同定を行う場合、EP95プール抗血清では同定困難である場合があるが、感染研分与の標準株抗血清を20〜50unitで同定可能である。市販の抗血清でも同定可能であるが、E6、E30など他の血清型をクロスで中和してしまうため(IASR 26: 238, 2005参照)、E18特有なCPEパターンに注目して同定を行う必要がある。

今般、難中和を示した広島分離株(2006年分離株F00-37015T)と他県の株の関係について、VP1領域の塩基配列を用いた系統解析の結果をに示した。2001年以降、福岡市、広島県で分離されたE18分離株は塩基で最大5%の違いであった。しかしアミノ酸では1〜2個の置換しかしていないため、大きな抗原変異はないと考えられる。

エンテロウイルス感染は一般的に乳幼児では発疹程度の軽い症状を示し、小児では無菌性髄膜炎を示すことが知られているが、2006年シーズン当初は乳幼児からの報告であり比較的軽症なケースであったが、その後無菌性髄膜炎を呈する小児からの分離が報告されている。今後の動向に注意が必要と思われる。

広島県保健環境センター 高尾信一
福岡市保健環境研究所 若月紀代子
感染研ウイルス第二部 吉田弘 清水博之

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