都道府県
各 政令市 衛生主管部(局)長 殿
特別区
インフルエンザ(H五N一)を指定感染症として定める等の政令(平成18年政令第208号。以下「指定政令」という。)、検疫法施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第 209号。以下「改正政令」という。)及びインフルエンザ(H五N一)を指定感染症として定める等の政令の施行に伴う感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の準用に関する省令(平成18年厚生労働省令第 126号。以下「準用省令」という。)が平成18年6月2日公布され、一部を除き同月12日から施行される。指定政令、改正政令及び準用省令の趣旨及び主な内容は、下記のとおりであるので、貴職におかれては、関係機関等へ周知を図るとともに、その実施に遺漏のないようにされたい。
なお、この通知において感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)を「法」と、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成10年政令第 420号)を「令」と、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成10年厚生省令第99号)を「規則」と略称する。
本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第 245条の4第1項に規定する技術的な助言である。
第1 制定及び改正の趣旨
世界各国において発生している鳥インフルエンザは、元来ヒトからヒトへの感染力はないものであったが、今般、トリからヒトへ感染する事例が世界中に広がっており、ヒトからヒトへ感染したと疑われる事例も複数報告されている。また、インフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型がH5N1であるものがヒトに感染しやすいものに変異してきているとの報告もあり、世界保健機関は、平成18年2月、インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型がH5N1であるものに限る。以下「インフルエンザ(H5N1)」という。)の患者を含む鳥インフルエンザの患者については、隔離をするように指針を出したところである。
こうしたことを踏まえ、インフルエンザ(H5N1)についてはヒトからヒトへ感染することを前提として、法の指定感染症として政令指定し、現行の四類感染症の規定に加え、二類感染症に準じた必要な規定を準用することにより、その発生及びまん延の防止を図ることとした。
第2 指定政令及び準用省令の概要
1 インフルエンザ(H5N1)の指定(指定政令第1条関係)
インフルエンザ(H5N1)を法第6条第7項の指定感染症として定めることとすること。
2 法の準用(指定政令第2条、準用省令関係)
(1)インフルエンザ(H5N1)については、次に掲げる法の規定を準用すること。
ア 疑似症患者への適用(法第8条第1項)
イ 医師及び獣医師の届出(法第12条、第13条)
ウ 情報の公表(法第16条)
エ 健康診断(法第17条)
オ 就業制限(法第18条)
カ 入院、移送、退院、感染症の診査に関する協議会、審査請求の特例(法第19条から第25条まで)
キ 死体の移動制限(法第30条、第34条、第35条(第4項を除く。)、第36条第1項及び第2項)
ク 医療(法第37条から第44条まで)
ケ 費用負担(法第58条(第5号から第9号までを除く。)、第61条)
コ 厚生労働大臣の指示(法第63条の2)
サ 保健所を設置する市又は特別区(法第64条第1項、第65条)
シ 権限の委任(法第65条の3)
ス 経過措置(法第66条)
(2)準用する規定について、所要の読替えをすること。
ア 無症状病原体保有者の適用除外(法第12条第1項、法第18条)
イ 届出対象となる病原体を保有する動物及び感染症の特定(法第13条、第19条)
ウ 入院する医療機関の特定(法第19条、第20条)
エ 退院をさせる要件の特定(法第22条)
(3)インフルエンザ(H5N1)は、令第1条に規定する高病原性鳥インフルエンザであることから、四類感染症に適用される次に掲げる規定の適用があること。
医師の届出(法第12条)、感染症の発生の状況、動向及び原因の調査(法第15条)、検疫所長との連携(法第15条の2)、情報の公表(法第16条)、感染症の病原体に汚染された場所の消毒(法第27条)、ねずみ族、昆虫等の駆除(法第28条)、物件に係る措置(法第29条)、必要な最小限度の措置(法第34条)、質問及び調査(法第35条)、書面による通知(法第36条)、輸入届出(法第56条の2)及びこれらの措置等に関する費用負担(法第9章)、雑則(法第10章)及び罰則(法第11章)の規定
なお、四類感染症及び指定感染症として適用及び準用される規定があること。
(4)法の規定が準用される場合は、それらの規定に基づく令及び規則の規定が準用されること。ただし、準用省令において準用される規定のうち、施行規則第11条第2項及び第3項については、所要の読替えをするものであること。
3 事務の区分(指定政令第3条関係)
指定政令第2条第1項において準用する法第12条、第13条、第16条から第23条まで、第25条、第30条、第35条(第4項を除く。)、第36条第1項及び第2項、第38条(第1項を除く。)並びに第64条の規定により都道府県、保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている事務については、第一号法定受託事務とすること。
第3 改正政令の概要
1 検疫感染症として指定
インフルエンザ(H5N1)を検疫法第2条第4号の政令で定める感染症(検疫感染症)に定めるものであること。その効果として、検疫法第13条及び第18条の2の適用があり、都道府県知事への通知について、検疫法第18条第3項の適用があり、併せて検疫法第26条の3の適用があること。
2 その他
(1)旭川空港を検疫飛行場に定めること。
(2)検疫所において行うインフルエンザ(H5N1)に関する病原体の有無の申請による検査の額を3,500円とすること。
(3)旭川空港について検疫所長の行う調査及び衛生措置の区域を定めること。
第4 施行期日等
(1)施行期日(指定政令附則第1条、改正政令附則)
平成18年6月12日。ただし、第3の2(1)及び(3)については、同月8日
(2)政令の失効(指定政令附則第2条)
指定政令は、施行の日から起算して1年を経過した日に、その効力を失うものであること。ただし、その時までにした行為に対する罰則の適用、都道府県の支弁する費用又は国の負担金については、その時以後も、なおその効力を有するものであること。
第5 留意事項
1 法令の遵守
指定政令は、インフルエンザ(H5N1)が現時点ではヒトからヒトへの感染の流行が始まる段階ではないが、これに備えて事前予防に万全を期す観点から、迅速なまん延防止対策をとれるよう法的な体制を整備するため政令において指定したものであることから、これが施行及び運用に当たっては、法その他の関係法令及び条例等の規定を遵守し、法、指定政令及び改正政令の趣旨から逸脱することのないよう留意すること。
2 個人情報の保護及び人権の尊重
1と同様の趣旨から、患者等の人権を制約する規定その他の施行及び運用に当たっては、個人情報の保護について関係法令及び条例等を遵守するとともに、人権の尊重については最大限配意すること。