<通知> コリネバクテリウム・ウルセランスによるジフテリア様症状を呈した患者に対する対応について

(Vol.27 p 333-334:2006年12月号)

健感発 1120001号
平成14年11月20日

     
都道府県
政令市 衛生主管部(局)長 殿 
特別区 
厚生労働省健康局結核感染症課長

最近、国内で、コリネバクテリウム・ウルセランスによる2例目の感染症患者の発生が報告されている。

コリネバクテリウム・ウルセランスによる感染症は、これまで諸外国においても、人から人への明らかな感染事例の報告はないものの、同じコリネバクテリウム属であるジフテリア菌によるジフテリア(二類感染症)と同様の症状を呈するといわれていることから、下記のことに注意いただくよう、管内医療機関等関係機関への周知方お願いする。

また、貴管内におけるジフテリア様疾患の発生動向に十分留意し、上記感染症の発生を探知した都道府県等は、当課まで連絡願いたい。

なお、別紙にコリネバクテリウム・ウルセランス感染症に対する現時点での知見を添付したので参考とされたい。

 1.ジフテリア様症状を呈した患者については、ジフテリア菌のみならずコリネバクテリウム・ウルセランスによる感染の可能性もあること。

 2.ジフテリア菌又はコリネバクテリウム・ウルセランスによる感染が疑われる場合には、都道府県等を通じて依頼した場合、国立感染症研究所細菌第二部で検査可能であること。

   3.コリネバクテリウム・ウルセランスによる感染症を診断した際には、患者の同意を得て、最寄りの保健所を通じて都道府県等まで情報提供願いたいこと。

別紙
コリネバクテリウム・ウルセランス感染症について

Corynebacterium ulcerans (コリネバクテリウム・ウルセランス)はジフテリア様の臨床像をきたす人獣共通感染症の起因菌であり、一般にウシやヒツジとの接触、または生の乳製品などを摂取することにより感染することが知られている。我が国でも2001年2月に、ジフテリア様症状を呈した患者からジフテリア毒素産生能を持ったC. ulcerans が分離された(病原微生物検出情報Vol.23 No.3(2002.3) 7(61))。C. ulcerans はウシの常在菌であるが、ジフテリア毒素遺伝子を持ったファージが溶原化して、ジフテリア毒素産生能を持つ菌となることがある。ジフテリアの類似疾患を起こす病原体として注意が必要である。

感染症週報(IDWR)感染症の話「ジフテリア」(2002年第14週号)掲載より関係箇所抜粋


<通知> コリネバクテリウム・ウルセランスによるジフテリア様症状を呈した患者に対する対応について

健感発 1120001号
平成14年11月20日

(社)日本医師会
感染症危機管理対策室長

厚生労働省健康局結核感染症課長

標記について、別添のとおり各都道府県、政令市、特別区衛生主管部(局)長あて、通知いたしましたので、お知らせいたします。

コリネバクテリウム・ウルセランスによるジフテリア様疾患患者に関する情報提供等について、貴会のご協力方よろしくお願いいたします。

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