インフルエンザ菌b型結合型ワクチンに関するWHOの見解

(Vol.28 p 19-19:2007年1月号)

インフルエンザ菌b型(Hib)は毎年少なくとも300万人に重症感染症を起こし、約386,000人の死者を出していると推測される。症例は全世界で発生しているが、問題が最も大きいのは貧しい国々である。Hib感染症、特に肺炎が疑われる症例での検査確定は難しいため、検査確定例のサーベイランスでは常に、Hib感染症による全体的負荷を過小評価している。最も重要な感染症、すなわち肺炎、髄膜炎、その他の侵襲的感染症は2歳未満の小児、特に乳児に発生することが多い。ワクチンは、重症Hib感染症のほとんどを予防することのできる唯一の公衆衛生的手段である。

現在、乳児での使用が認可されているHibワクチンは、蛋白質担体と結合したPRP(Hibの莢膜多糖体)を含むものである。Hibワクチンには単味ワクチンと混合ワクチンの両者がある。Hibワクチンは月齢の早い乳児に接種しても安全で効果があり、90カ国を超える国で定期予防接種プログラムに取り入れられている。その結果、多くの先進国で侵襲性Hib感染症は排除され、いくつかの途上国においても発生は激減した。このことから、本ワクチンは乳児の定期予防接種プログラムすべてにおいて取り入れられるべきである。

地域でのサーベイランスデータが不足していても、このワクチンの導入を遅らせるべきではない。しかし、ワクチン接種導入後のHib感染症サーベイランスは重要である。ワクチン接種の効果をみるため、および1歳台の児での追加接種が必要であるかどうかをみるため、元々の接種対象年齢群だけでなく、より上の年齢群についてもサーベイランスを行うべきである。

本ワクチンは1回目を生後6週で接種し、2回目および3回目は4〜8週の間隔で行うが、これらはDPTとの同時接種が可能である。12カ月を超える未接種の児は、1回接種で十分である。ワクチン導入時に、12〜24カ月の児を対象としたキャッチアップ接種を行うことで、Hib感染症の発生をより急激に減少させることが可能と思われる。24カ月を超える児はHib感染症の重要性があまり大きくないので、一般的には接種対象でない。多くの先進国では1歳台の児に追加接種を行って効果がみられているが、接種する場合、12〜18カ月に行うべきである。途上国における追加接種の必要性と時期については、さらなる研究が必要である。

年長小児や成人でも、HIV感染者、免疫グロブリン欠損者、造血幹細胞移植を受けた者、悪性腫瘍で化学療法を受けている者、無脾症者など、侵襲性Hib感染症の高リスク者であれば、可能な限り少なくとも1回は接種を受けるべきである。

(WHO, WER, 81, No.47, 445-452, 2006)

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