インフルエンザ感染を減らすための個人的防御策(医薬品以外)−ヨーロッパCDC(ECDC)の暫定的指針

(Vol.28 p 19-19:2007年1月号)

現在、手洗い、咳エチケット、早期自宅隔離、マスクの着用などの個人的防御策について指針を作成することに関心が高まっている。ヒトにおける通常のインフルエンザとパンデミックインフルエンザに有効な手段は同一と思われるので、このことは次のインフルエンザパンデミックへの準備ともなる。ヨーロッパ人において、個人的防御策に関する知識を高める必要がある。

インフルエンザの感染経路

・ウイルス性呼吸器感染症としてのヒトからヒトへの主な感染経路
 1.咳やくしゃみをしている感染者からの大きな飛沫
 2.直接または間接的な接触(例、感染者の咳やくしゃみが手に付着し、その後他の人と握手)

・感染リスクを有する者
 1.咳やくしゃみをしている感染者に接近(1メートル以内)している者
 2.呼吸器分泌物で汚染されたものに接触する者(例、他人が使用した直後のティッシュペーパーに触れることや、ティッシュペーパーを使ったり鼻を触ったりして感染性がある者の手に触れること)

・潜伏期間(曝露から発症まで)は通常48〜72時間であるが、24時間〜7日の幅がある。

・感染者の他人への感染性は、発症直後が最も強い。ウイルスの排泄は発症後5日間(小児では7日間)も続くが、ウイルス量すなわち感染性は着実に減っていく。

・発症前に他人に感染させることは非常に稀である。

ECDCが勧める個人的防御策

・手洗いの習慣(最も強く推奨)

・適切な咳エチケット(咳やくしゃみの際、ティッシュペーパーで口と鼻を覆い、そのティッシュペーパーを適切に処理すること)

・医療施設におけるマスクの着用(急性呼吸器感染の症状がある者)

・インフルエンザ流行期に体調不良で熱感がある者は、早期に自宅隔離

個人的防御策の効果を示すエビデンスや研究は非常に少なく、今後直ちに研究が行われるべきである。

(Eurosurveillance Weekly 11, 12 October, 2006)

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