ハンガリーでは2006年1〜11月の期間に、223件のノロウイルス集団発生が報告された。2006年夏以降の同国における集団発生の大部分は、新しい変異株であるGII/4 2006bによるものであったが、これは2006年のはじめにヨーロッパ数カ国で見つかっており、ハンガリーでは同年4月に初めて確認されている。
2006年第2四半期にはハンガリー北東部で発生が際だって増加したが、これは同年6月にMiskolcで飲料水に関連して発生し、3,600人の感染者を出したノロウイルスの集団発生によると考えられる。同年第3四半期には、ノロウイルスの流行はその周辺地域やハンガリー中部にも拡がり、10〜11月には北部低地や北西部ドナウ川地域にまで拡大した。
2006年のノロウイルス集団発生は42%(54件)が病院、31%(39件)が老人福祉施設、13%(16件)が保育園や学校で生じているが、これは近年と同じ状況である。11月の流行を含め、集団発生のほとんどは人→人感染によるものであり、他の感染経路はほとんどみられなかった。
2005年では、ノロウイルスの集団発生件数は2000〜2004年の中央値を超えなかったが、2006年では、1〜11月のすべての期間においてこれらの年の中央値を上回っており、特に10〜11月では3倍となっている。
ハンガリーで1998年から行われているノロウイルスサーベイランスのデータによると、これまでのところ、最もノロウイルスが流行したのは2002/03シーズンであった。この時期に集団発生件数が急激に増加したのは、2002年にハンガリーを含むヨーロッパで検出された新しい変異株GII/4 2002によるものである。2006年における集団発生件数の増加も、2002年と同様のパターンと思われ、GII/4 2006変異株が関係していると考えられる。
(Eurosurveillance Weekly 11, 14 December, 2006)