中国におけるブルセラ症、2001〜2006年

(Vol.28 p 228-229:2007年8月号)

中国では、2001〜2006年にかけ、それぞれ、年間2,861人、5,273人、6,233人、12,225人、20,050人、20,699人とブルセラ症の報告があり、増加の一途を辿っている。では、特に、SARSの流行があった2003〜2004年にかけての増加が目立つ。2004年、2005年もそれぞれ前年の2倍で、5年間で7倍の増加となっている。ただし、この中で死亡が確認されているのは僅かで、2005年の5人を除きせいぜい年間2〜3人である。黒竜江省CDCからの報告によると、村の一斉検査により、1,681人中発病者15人が見つかり、15人すべてが養畜に関わっていた。養畜業者162人中77人の血清を採取し検査したところ、抗体陽性者は21人であった。動物の抗体陽性率は2.5%、新規購入した羊の29%という(2005年7月号)。

一方、河南省のある市(人口2,758人 80戸程度の羊、豚、牛等、畜産を主とする村)での調査によると、羊87頭を調査し、試験管凝集反応で28%陽性、牧畜業者82人では33%の陽性率であった(牧畜に関わらない群では0.2%)。感染経路は汚染された土壌が舞い上がり空気感染したものと推定している(2006年4月号)。

に示した全国統計は、臨床症状に基づいたものが大部分と推定されるので、鑑別診断の精度を十分考慮し解釈すべき統計と思われる。中国の牧畜地に旅行または滞在する人は、ブルセラ症の存在を認識しておくべきであろう。

(中国CDC、疾病監測、20: 353, 2005 & 21: 198, 2006)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)



ホームへ戻る