イングランドにおける麻疹の確定症例(最新情報)−英国

(Vol.28 p 229-229:2007年8月号)

2007年3月末に発生した移動人口集団(訳者注:宗教や文化的な背景により一定の定住場所を持たない集団を指すと思われる)による麻疹の集団発生が現在も続いているが、広範囲の感染伝播はないと考えられる。6月15日までに79例は同一集団に繋がりがあることが確認されている(68例は集団に属する者、11例は同集団との接触者)。大部分の症例はロンドン、イングランド南東部、イングランド東部から報告されており、5つの他の地域(東ミッドランド、西ミッドランド、南西部、ヨークシャーとハンバー、北西部)からも報告があった。

集団のうち34例から検出されたウイルスの塩基配列はMVs/Enfield.GBR/14.07/[D4]-EF600554株と一致していた。さらに15例から検出されたウイルスもこの株と一致していたが、うち9例のみがその集団との接触があったと報告しており、この株は現在も広範囲に循環していることが示唆される。

これまでのところイングランドでは、1月1日〜6月10日の間に発症した133例の麻疹検査確定例が英国健康保護局感染症センターに報告されている。同期間にスコットランドでは3例の報告があり、うち2例はルーマニア人コミュニティーからの輸入症例で、ともにイングランドで検出されたMVs/Enfield.GBR/14.07/株とは全く異なるD4であることが判明した。しかし、最近ルーマニアで同定されたMVs/Glasgow.GBR/20/07/[D4]-EF653361株の配列とは類似していた。ウェールズと北アイルランドでは麻疹の症例は確認されていない。

移動人口集団の集団発生に加えて、イングランドでは他にも数カ所で医療従事者、幼稚園や小学校、医療施設に関連している小規模な患者の集積があった(遺伝子型はB3)。8例は海外で感染したことが確認されており、インドで4例(3例がD8)、ポーランド(D8)、オランダ(D4)、デンマーク(D4)、パキスタンから各1例であった。さらにD5であることが確認された症例は臨床的に麻疹の症状を伴ってタイから帰国した人との接触があった。

133例のうち6例のみ麻疹含有ワクチンの接種歴があったと報告された。90%(122例)は20歳未満であった[1歳未満(7カ月未満4例を含む)が15例、1〜4歳35例、5〜9歳41例、10〜14歳19例、15〜19歳14例]。11名の成人麻疹の症例は20〜43歳であった。

(Health Protection Report 1, No.25, 2007)

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